2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11222207
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
目黒 多加志 理化学研究所, 半導体工学研究室, 副主任研究員 (20182149)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 浩一 筑波大学, 物理工学系, 教授 (10116113)
尾笹 一成 理化学研究所, 半導体工学研究室, 先任研究員 (10231234)
青柳 克信 理化学研究所, 半導体工学研究室, 主任研究員 (70087469)
一色 秀夫 電気通信大学, 電気通信学部, 助手 (60260212)
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Keywords | 多価イオン / グラファイト / ダイヤモンド / 電子状態制御 / ナノ構造 |
Research Abstract |
高配向性グラファイドに多価のアルゴンイオンを照射することにより、ナノサイズのダイヤモンドの創製に成功した。通常グラファイトにイオン照射を行ってsp^2結合をsp^3結合に変化させる場合には高いドーズ量が必要であり、結果としてsp^3結合が出来たとしても非常に全体の構造に乱れが生じてしまっていた。本実験で得られた多価イオン照射によるナノダイヤモンド生成では、多価イオンの持つ大きなクーロンポテンシャルにより、イオンが表面に衝突する前の段階で表面からの多数の電子放出がおこり、それが局所的な電子状態の変化を誘起するためにグラファイトからダイヤモンドへの変化が起こるものと考えている。従って、例えば1つのAr^<8+>イオンを照射することにより、グラファイト表面の数ナノメーターの領域が局所的にダイヤモンド化するため、周辺領域の結晶性は全く乱されず、走査トンネル顕微鏡観察でも明瞭な原子象が観察されている。 形成されたダイヤモンドの構造の詳細は現在検討中であるが、走査トンネル顕微鏡を利用した電流-電圧特性からは、多価イオン照射領域において、6eV程度のギャップが観察され、さらにラマン分光からは微結晶ダイヤモンドや非晶質ダイヤモンドに対応すると思われるピークが観測されている。 最終年度である次年度は、これらの構造の決定、機構の解明、並びに応用面での新たな可能性に関して検討していく計画である。
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