2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11224203
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
森 健彦 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (60174372)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
御崎 洋二 京都大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90202340)
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Keywords | TTd相互作用 / 有機伝導体 / 電子相関 / モット絶縁体 / 金属・半導体転移 |
Research Abstract |
磁性アニオンを含むBETS系などのπd系有機導体において、πd相互作用の大きさを分子軌道計算によって見積もり、平均場理論に基づいて解析を行なった。λ-(BETS)_2FeCl_4のJπdの大きさは磁場誘起超伝導相の中心磁場からも求められ、18K程度となって分子軌道計算の結果とよく一致する。平均場的にネール温度を計算すると、λ相では直接相互作用と間接相互作用の寄与が似たような大きさとなって、π系上に誘起されるスピンは14%程度と見積もられる。これに対しκ-(BETS)_2FeX_4ではπスピンの大きさは1-2%程度となり、ネール温度はほとんど直接相互作用で決まっていることになる。この他のπd系についても同様の計算を行なった結果、λ塩以外のπd系では転移温度は大部分直接相互作用で決まっているが、第3方向の相互作用をπd相互作用が担っているため、πd相互作用がない系は低次元的磁性を示すことが明らかになった。また、アニオンを合金にした(TTM-TTP)M_<1-x>M'_xCl_4といったテトラチアペンタレン(TTP)系伝導を開発した。2価の金属M'を混ぜることによってバンドフィリングをコントロールすることができ、伝導性はハーフフィリングからゼロフィリングに行くに従って金属から半導体へと変化した。TTP系有機導体では、中心のリジッドなコアー部分がかなり大きいため、従来よりもバルキーな長鎖の置換基をつけたC_2TET-TTPなどのドナーを合成し、金属的伝導性が安定化することを見い出した。両側に4本の長鎖アルキル基をつけたTTC_n-TTPの中性結晶は、分子ファスナー効果が議論されているTTC_n-TTFよりもおおむね3桁ほど高い伝導性を示し、金属を含まない中性の有機物としては、他に例を見ない高伝導性であると思われる。
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[Publications] M.Katsuhara et al.: "Band Filling Control by Chemical Approach in Molecular Conductors (TTM-TTP) MxM'_<1-x>Cl_4 [M, M'=Fe, Ga, Co, and Mu]"Chem. Mater.. 14(1). 458-462 (2002)
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[Publications] S.Kimura et al.: "2,5-Bis(1,3-dithiol-2-ylidene)-1,3,4,6-tetrathiapentalene (TTP) Derivatives Having Four Long Alkyl Chains"Tetrahedron. 58. 1119-1124 (2002)
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[Publications] M.Katsuhara et al.: "Tetrathiapentalene-Based Organic Conductors with 1:1 Composition"J. Mater. Chem.. 11. 2125-2130 (2001)
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[Publications] S.Kimura et al.: "Stereochemically Ordered Donor Columns in an Organic Conductor, (Et_2BEDT-TTP)_2HgI_3"Tetrahedron Lett.. 42. 5729-5732 (2001)
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[Publications] M.Aragaki et al.: "Universal Phose Diagram of O-Type TMET-TTP Salts"J. Phys. Soc. Jpn.. 70. 1642-1646 (2001)
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[Publications] M.Aragaki et al.: "Selenium Analogs of Tetrathiapentalene Derivatives with Long Alkyl Chains"Bull. Chem. Soc. Jpn.. 74. 833-838 (2001)