2000 Fiscal Year Annual Research Report
ビオローゲン共役組織体の多段階レドックスと電子機能
Project/Area Number |
11224207
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
彌田 智一 東京都立大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90168534)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松下 未知雄 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (80295477)
阿部 二朗 東京都立大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (70211703)
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Keywords | レドックス制御 / 機能性イオンラジカル / 多段階レドックス / 刺激応答性 / 分子磁性 / ビオローゲン / 共役組織化 / 配位高分子金属錯体 |
Research Abstract |
本研究では、光電気化学的にレドックス制御できる機能性イオンラジカルを強い相互作用のもとに共役組織化し、その組織体構造と多段階レドックスの相関関係を理解するとともに、イオンラジカル生成の光電気化学的制御を応用した刺激応答性の分子磁性及び導電性の発現を目的としている。平成12年度は(1)配位高分子金属錯体の光化学的磁性スイッチング、(2)レドックス活性ジケトン金属錯体の電気化学特性について検討した。 光電気化学活性な多機能性ユニットであるビオローゲン誘導体である多座配位子BPyPを合成し、金属との配位結合を用いた共役組織化と、光誘起イオンラジカル生成を利用した金属錯体の磁性スイッチングを試みた。BPyPは水溶液中で銅(II)イオンとの自己組織化により配位高分子錯体を生成した。単結晶X線構造解析により、銅錯体はチャンネル構造を有するstack-of-logs構造をしていることがわかった。この配位高分子金属錯体BpyP-CuCl_4の光照射による磁化率の変化を測定した。光照射によりχT値の増大が観測された。XPS測定によってドナーであるCl^-イオンから、アクセプターであるビピリジニウム部位への電子移動であることが明らかになった。 β-ジケトンは様々な金属との間にπ共役系を有する6員環構造の錯体を形成する。この特徴に着目して、β-ジケトンの共役組織化インターフェースとしての利用を検討した。配位子ではピリジニウム基の2段階の、亜鉛錯体では4段階の可逆的酸化還元反応を確認した。この挙動は、エノレート構造を介した配位子内及び中心金属を介した配位子間の相互作用を反映している。Ni錯体のDPVでは、4本に分裂した明瞭なピークは観測されないものの、2本のブロードなピークが観測されることから、金属を介した配位子間の弱い相互作用の存在が示唆される。電解吸収スペクトルにおいては、錯体の4電子還元体生成過程が段階的に確認された。還元体生成に伴って現れた吸収帯は、各還元段階で等吸収点をもちながら変化することが確認された。
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[Publications] 松下未知雄,彌田智一 他3名: "Intramolecular Magnetic Interaction of Phenylene-linked Bis-beta-diketone Metal Complexes"Chem.Lett.. 2000. 812-813 (2000)
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[Publications] 伊藤慈英,彌田智一 他2名: "Poly (benzo[c]thiophene-2-oxide) Thin Film"Synth.Metals. 114. 235-242 (2000)
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[Publications] 松下未知雄,彌田智一 他2名: "Tunable Molecular Magnetism in Conjugated Assembly of Functional Spin Units"Macromol.Symp.. 156. 87-93 (2000)
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[Publications] 阿部二朗,彌田智一 他4名: "EPR and Density Functinal Studies of Light-Induced Radical Pairs in a Single Crystal of a Hexaarylbiimidazolyl Derivative"Angew.Chem.Int.Ed.. 40. 580-582 (2001)
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[Publications] 松下未知雄,彌田智一 他2名: "Metal Coordination Complexes composed of Photo-Electrochemically Active Ligands"Mol.Cryst.Liq.Cryst.. 343. 87-96 (2000)
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[Publications] 鎌田香織,彌田智一 他1名: "Anion-controlled Redox Process in a Cross-linked Polyviologen Film Toward Electrochemical Anion Recognition"Langmuir. 17. 155-163 (2000)