2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11224210
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
田村 雅史 理化学研究所, 分子物性化学研究室, 先任研究員 (00231423)
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Keywords | 有機伝導体 / 分子性伝導体 / 希土類 / f電子 |
Research Abstract |
平成11年度に引き続いて、異質物質系複合化による新しい電子系創出のため、希土類4f電子系-有機π伝導電子系の複合系開発研究をおこなった。平成11年度までに、自己集合機能をもつπドナーを使って3系列の高伝導性物質が実際に得たが、次の問題が出てきた。 ・πドナーの自己集合機能が高いと、結晶内で陰イオンの構造が乱れてしまう。 ・これまで用いてきた陰イオン[Ln(NCS)_6]^<3->は、安定性と取扱いの容易さの点では非常に優れていたが、陰イオンどうしは隔離され、4f電子間の相互作用は働かない。 ・πドナーと配位子NCS^-の間の相互作用が、π電子-4f電子間の相互作用にはならない。 以上の問題を克服するためには、希土類4f電子と周囲との相互作用を可能にするさらに優れた配位子の選択が決め手になる。平成12年度はNCS^-以外の配位子を使った新物質探索研究を進め、希土類イオン間を架橋させた構造を得ることを目標とした。希土類イオン間に相互作用をもたせて4f電子が磁気秩序化する可能性を追求することと、陰イオン側にも適切な自己集合機能をもたせることが目的である。これまでに結晶として得られた新規物質は2種類で、本研究の中でははじめて軽希土類イオン(Ce^<3+>,Sm^<3+>)を含むものを得た。そのうち、(DIEDO)_x[Ce(NO_3)_y]は準金属的な電気伝導を示す。(ET)_n{Sm(NO_3)_x[N(CN)_2]_y(H_2O)_z}は半導体であるが、その結晶構造にはN(CN)_2^-による架橋構造が見られ、4f電子間に相互作用が働いている可能性がある。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] N.Tajima,M.Tamura, et al.: "Transport Property of an Organic Conductor α-(BEDT-TTF)_2I_3"J.Phys.Soc.Jpn.. 69・2. 543-551 (2000)
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[Publications] Y.Nishio,M.Tamura et al.: "Thermodynamical Study of (DMe-DCNQI)_2 Cu System"J.Phys.Soc.Jpn.. 69・5. 1414-1422 (2000)
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[Publications] H.Mori,T.Okano,S.Tanaka,M.Tamura et al.: "Discontinuous Change of Metal-Insulator Transition in the Alloyed θ-system θ-(BEDT-TTF)_2(Rb_<1-x>Cs_x)Zn(SCN)_4"J.Phys.Soc.Jpn.. 69・6. 1751-1756 (2000)