2000 Fiscal Year Annual Research Report
有機ラジカルと遷移金属イオンの自己集合組織化による複合機能を持つ分子磁性体の構築
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11224214
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| Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
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Principal Investigator |
井上 克也 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助教授 (40265731)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細越 裕子 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (50290903)
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| Keywords | 分子磁性体 / 不斉磁性体 / キラルマグネット / プルシアンブルー / 磁気不斉二色性 / 磁気-光学効果 / 金属錯体 / 三次元磁性体 |
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| Research Abstract |
分子性化合物は、光透過性、軽量性、化学的修飾による拡張性などの無機物質や金属とは異なる特徴を持ち、分子性磁石の構築および磁性研究は、物性科学研究の中で重要な位置を占めている。本研究は、"分子性"の特長を生かした、多重機能を持つ強磁性体の構築およびその物性の可能性を明らかにすることを目的として研究を進めている。光と磁性の絡んだ現象として、不斉な磁性体の中を光が通過する際、不斉分子による光学活性と磁性体によるファラデー効果の単純な足し合わせ効果の他に、吸光度、屈折率等が磁化の向きによって変化する"磁気不斉二色性(MChD effect)"が、最近理論的に予測された。光に対して透明な磁性体は分子性でのみ実現可能であるので、先に挙げた我々の手法を用いた光・磁気複合磁石の実現が期待される。昨年度、すでに一次元不斉分子磁石の合成に成功したが、TCの向上を目指し、今年度は三次元不斉分子磁石の合成を試みた。
高次元構造をとりやすい錯体としてプルシアンブルー系の錯体を用い、構造を不斉にするために、前回同様に不斉誘導を用いることとした。不斉なジアミンを有するマンガン2価イオンと、ヘキサシアノクロムイオンを水溶液中で混合することにより、黄色針状結晶を得た。この錯体の単結晶について、X線結晶構造解析を行ったところ、キラルなヘキサゴナルの空間群に属することが明らかとなった。明らかにされた構造はクロムとマンガンイオンがCN架橋で交互に繋がり6回螺旋を巻いている。それぞれの6回螺旋間はクロムとマンガンがCN架橋で繋がり、結果として三次元構造をとっている。磁化率測定を行ったところ、TC=53Kでフェリ磁性体に転移することが明らかになった。転移温度以下の磁化曲線は早い飽和をみせ、飽和磁化の値(4μB)はマンガンとクロムのフェリ磁性構造と対応している。磁化率の高温挙動からマンガンとクロム間の反強磁性相互作用は-110K以上と見積もられた。
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[Publications] Pierre Rabu: "Exchange Coupling Parameters and Energy Levels for Cyclic Metal-Radical Complexes of Bis(hexafluoroacetylacetonato)manganese(II) with 5-tert-butyl-1,3-phenylenebis(N-tert-butylaminoxyl) and (4-N-tert-butyl-N-oxyamino)pyridine"European J.Inorg Chem.. 211 (2000)
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[Publications] Katsuya INOUE: "One-Dimensional Ferro- and Ferrimagnetic Chains Made of an Alternating Array of 1,3-Bis(N-tert-butyl-N-oxyamino)benzene and Mn(II)(hfac)_2"Coordination Chemistry Reviews. 198. 219 (2000)
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[Publications] Keiidi Katoh: "Singlet ground states in an organic S=1/2 spin ladder and a novel double spin chain of ferromagnetic dimers formed by an organic tetraradical"J.Phys.Soc.Jpn.. 69. 1008 (2000)
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[Publications] Hitoshi Kumagai: "Synthesis Structure and Magnetic properties of a chiral One-dimensional Molecule-based Magnet"Mol.Cryst.Liq.Cryst.. 343. 97 (2000)
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[Publications] Hitoshi Kumagai: "Synthesis and Magnetic properties of a new complex made up of Mn(hfac)_2 and the radical with a triplet ground state"New.J.Chem.. 7. 537 (2000)
