1999 Fiscal Year Annual Research Report
kai時計遺伝子の分子遺伝学的解析による概日振動発生機構の解明
Project/Area Number |
11233203
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (B)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
近藤 孝男 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10124223)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石浦 正寛 名古屋大学, 遺伝子実験施設, 教授 (20132730)
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Keywords | シアノバクテリア / 概日時計 / ki時計遺伝子 / ネガティブフィードバック / 蛋白質相互作用 / ATP / GTP結合能 / 時計蛋白のリン酸化 / センサーキナーゼ |
Research Abstract |
1 KaiA,B,C蛋白質の生化学的機能 KaiC蛋白のもつATP/GTP結合ドメインの活性を調査し、この活性の役割を理解することを試みた。まずKaiC蛋白のATP/GTP結合能を調査し、KaiC蛋白がATP/GTPと結合することを見出した。つぎに結合ドメインに変異を導入し、KaiC蛋白のATP/GTP結合能と概日リズムがともに大きく低下することを確認し、この結合活性がリズム発生に不可欠であることを示した。 2 他の時計要素の探索とその解析 Kaiタンパク質と相互作用するタンパク質の同定するため、酵母のtwo-hybrid系を利用し,KaiCタンパク質と相互作用するタンパク質をコードする遺伝子sasAをクローニングした。この遺伝子は二成分情報伝達系のセンサーキナーゼをコードしており、その存在が概日振動の安定化と強さに不可欠であることを示した。さらにこの機能かKaiCとSasAの相互作用に起因していることを示した。 3 KaiA,B,C蛋白質の動態 時計遺伝子翻訳産物の経時変動の解析するためシアノバクテリア細胞内でKaiタンパク質の変動を調査した。その結果、各蛋白質はmRNAから8時間遅れた位相で振動し、さらにこれらの時計蛋白のリン酸化にもリズムがあることを見出した。リズム突然変異体ではこれらの時計蛋白のリン酸化もみだれており、時計蛋白のリン酸化がその機能に重要であることが確認された。 4 光による時計リセットメカニズム 光信号によるkaiBC遺伝子の発現制御を調査し、その作用スペクトルから位相変位には光合成活性の低下が主要な要因であることを見出した。 以上の成果はKaiC蛋白の生化学的機能が概日振動の特性を決定しており、その解析が生物時計機構の謎の解明につながることを期待させるものであった。
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[Publications] Iwasaki H.: "Physical interactions among circadian clock proteins, KaiA, KaiB and KaiC, in cyanobacteria"EMBO J. 18. 1137-1145 (1999)
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[Publications] Nishiwaki T.: "Nucleotide binding and autophosphorylation of the clock protein KaiC as a circadian timing process of cyanobacteria"Proc. Natl. Acad. Sci.. 97. 495-499 (2000)
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[Publications] Kondo, T.: "The circadian clocks of plants and cyanobacteria"Trends Plant Sci.. 4. 171-176 (1999)
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[Publications] Kondo T.: "Circadian clock of cyanobacteria"Bio Essays. 22. 10-15 (2000)