1999 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子改変マウスを用いた生殖系列細胞の追跡と機能解析
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11234203
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡部 勝 大阪大学, 遺伝情報実験施設, 教授 (30089875)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 玄 大阪大学, 医学部, 助教授 (40243258)
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Keywords | GFP / トランスジェニックマウス / 雌雄選別 / GPIアンカー / キメラ |
Research Abstract |
遺伝子改変マウスを用いた生殖系列細胞研究のひとつのアプローチとして、我々はX染色体上に緑色蛍光を発するたんぱく質GFPを発現する遺伝子を組み込んだトランスジェニックマウスを作製している。このマウスを用いると着床前の時期に受精卵の雌雄を判定できる。このようにして、雌雄を判定した雌卵と雄卵を8細胞期に接着すると雌雄のキメラを作製することができる。この雌雄キメラでは雌性部分と雄性部分は蛍光顕微鏡で観察すると一目瞭然に区分することができる。我々はこの系を用いて雄性に分化した器官内における雌性細胞の運命や反対に雌性として分化した器官内に存在する雄性細胞の運命を観察し、生殖系列細胞の分化に必要な因子や細胞間相互作用について解析を行った。このようにして作出してえられたキメラでは精巣内に分布したXX型の細胞や卵巣内に分布したXY型の卵細胞と思われるものを検出することができた。今後これらの細胞の機能を検討する予定である。 また、我々はcalmegin遺伝子を欠損するノックアウトマウスを作製し、その雄が正常に交尾して射精するにも関わらず不妊であることを示したが、その不妊の原因の一つとして精子が卵管内へ上昇しないことがあげられた。我々は精子にGFPでマーキングすることにより、きわめて自然に近い状態で精子を追跡することができるシステムを作製した。そのひとつは精子の先体内にGFPを発現させるトランスジェニックマウスの系で、この系を用いると精子を卵管の外から容易に確認することができるほか、精子の先体反応をトレースすることも可能であった。またGFPを膜結合型とするためにGPIアンカーシグナルを結合させて精子に発現させることにも成功したため、今後この精子を使ってGPIアンカー型の因子の受精における役割を検討してゆく予定である。
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[Publications] Kondoh G. et al.: "Tissue-inherent fate of GPI revealed by GPI-anchored GFP transgenesis"FEBS Lett. 458. 299-303 (1999)
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[Publications] Nakanishi T. et al.: "Real-time observation of acrosomal dispersal from mouse sperm using GFP as a marker protein"FEBS Lett. 449(2-3). 277-283 (1999)