2002 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子改変マウスを用いた生殖系列細胞の追跡と機能解析
Project/Area Number |
11234203
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Research Institution | OSAKA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
岡部 勝 大阪大学, 遺伝情報実験センター, 教授 (30089875)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 玄 大阪大学, 医学部, 助教授 (40243258)
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Keywords | 生殖細胞 / 複数分裂 / 雌雄キメラ / Cre / 1oxP / GFP |
Research Abstract |
卵子の雌雄を判定した後、8細胞期に雌雄を組み合わせるように接合して異性キメラを作製した。約95%は雄または雌の表現系を示した。半陰陽を生じたものは5%に過ぎなかった。そして、雄の生殖巣における雌由来細胞や雌の生殖巣内における雄由来細胞の運命を追跡した。その結果、精巣内にも多くの雌由来生殖系列の細胞が認められた。われわれの開発した遺伝子操作動物を用いたセックスキメラ系の利点はいかなる時期においても個体中の雌雄の細胞を蛍光の有無により分別できることである。そこで、これら異性環境下におかれた生殖細胞を発生のさまざまな時期に回収し、生殖細胞特異的遺伝子の発現や、ゲノミックインプリンティングを調べた。その結果、精巣内に存在する多数の雌由来の精原細胞様細胞は、形態学的だけではなく、分子生物学的にも雄として分化していることが示された。この雌由来の細胞は雄性生殖細胞として分化していることが示されたにもかかわらず精子への分化を起こすことは無かった。この系にさらに遺伝子改変技術を導入することにより、何が精子への分化に必要であるのかを明らかにしてゆくことができると考えられ、この点に関してはさらに検討を重ねている。大多数の雌由来細胞は上述の運命をたどるのであるが、一部の雌由来細胞は卵子としての分化をおこし、精巣内において大きな卵子として分化成熟することも確かめられた。中辻班との共同研究により雄性個体中における雌性生殖細胞の減数分裂開始時期について詳細な検討を行ない、卵子に分化するものは精巣内で早い時期に減数分裂に入っていたことが確認された。同じ雌性の生殖細胞でありながら、大多数が雄型に分化する中で、どのようにして一部の細胞が本来のメス型として分化しえたのかについては今後さらに検討を要する部分である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Kimura T et al.: "Mouse germ cell-less as an essential component for nuclear integrity"Mol Cell Biol. 23(4). 1304-1315 (2003)
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[Publications] Baba D et al.: "Mouse sperm lacking cell surface hyaluronidase PH-20 can pass through the layer of cumulus cells and fertilize the egg"J Biol Chem. 277(33). 30310-30314 (2002)
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[Publications] Murakami H et al.: "Transgenic pigs expressing human decay-accelerating factor regulated by porcine MCP gene promoter"Mol Reprod Dev. 61(3). 302-311 (2002)
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[Publications] Yamagata K et al.: "Sperm from the calmegin-deficient mouse have normal abilities for binding and fusion to the egg plasma membrane"Dev Biol. 250(2). 348-357 (2002)
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[Publications] Nomura M et al.: "Mechanism of host cell prptection from complement in murine cytomegalovirus (CMV) infection : identification of a CMV-responsive element in the CD46 promoter region"Eur J Immunol. 32(10). 2954-2964 (2002)
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[Publications] Nakanishi T et al.: "FISH Analysis of 142 EGFP Transgene Integration Sites into the Mouse Genome"Genomics. 80(6). 564.574 (2002)