1999 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳類における生殖系列ー体細胞系列分岐の制御機構に関する分子遺伝学的解析
Project/Area Number |
11234204
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (B)
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
阿部 訓也 熊本大学, 医学部, 助教授 (40240915)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松居 靖久 大阪府立母子保健総合医療センター研究所, 部長 (40241575)
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Keywords | 生殖系列 / 幹細胞 / cDNA解析 / トランスジェニックマウス / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
生物を構成する細胞の中で生殖細胞は唯一、次世代に受け継がれると言う意味で不死であり、また全能性を有するという点で、非可逆的な分化を行う体細胞とは大きく異なり、生物種の存続、進化を考える上で非常に重要な細胞である.しかし、その分子的実体の殆どが不明である.これは、生殖系列の各ステージでどのような遺伝子が発現するかという基本的知見の欠如に起因するところ大である.そこで、本研究では、始原生殖細胞(Primordial Germ Cell;PGC)を純化単離し、そこに発現する遺伝子を網羅し、他の細胞と比較することによって生殖系列発生過程に発現し、利用される遺伝情報を明らかにし、始原生殖細胞の成立、維持、その属性を規定するための遺伝子的基礎を追究していくことを目的とする. Oct3/4-GFPマウス胚からレポーター発現を指標にFACSにてPGCの純化、単離を行った.単離した細胞は100%が蛍光陽性であり、アルカリフォスファターゼ活性染色を行ったところ強弱はあるもののほぼ全てが陽性であった.胎生日10.5日から15.5日までのPGC,あるいは新生産仔、生後1週仔の精巣内の精原細胞を実際にFACSで単離した.Oct-GFPマウスの胎生11.5日,12.5日,13.5日の雌雄胚それぞれからPGCを単離し、ライブラリーを作製し、各ライブラリーから1万クローン,計6万クローンをピックアップしタイタ-プレ-ト中に凍結保存した.これらのクローンを用いて、高密度にコロニーを整列させたmacroarray blotを作製した.TNAPマウスから単離したPGCを用いて,H19遺伝子座位のゲノムインプリンティングの消失の時期を調べるため,bisulfate mutagenesisの手法を用いてmethylation imprintを受ける領域のメチル化状態を検討した.その結果、雌のPGCゲノムにおいては胎生13.5日において大半の細胞において消去が起こっており、14.5日に完全に消去される.対して、雄PGCでは13.5日において部分的な消去が認められるが、決して完全ではなく、14.5日以降ではむしろメチル化は増加していた.したがってインプリントの消去の時期、程度は雌雄で異なることが判明した.この時期のde novo methylaseであるDnmt3のPGCにおける発現を検討している.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Ando, A., Kikuti, Y. Y., Abe, K. et al.: "cDNA cloning, Northern hybridization and mapping analysis of a putative GDS(guanine nucleotide dissociation stimulator of G proteins)-related protein gene at the centromeric ends of the human and mouse MHC regions."Immunogenetics. 49. 354-356 (1999)
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[Publications] Kondo, T., Furuta, T., Mitsunaga, K., et al.: "Genomic organization and expression analysis of the mouse qkI locus."Mammalian Genome. 10. 662-669 (1999)
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[Publications] Yamauchi, Y., Abe, K., Kuratani, S. et al.: "A novel transgenic technique that allows specific marking of neural crest cell lineage in mice."Dev. Biol.. 212. 191-203 (1999)
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[Publications] Yoshimizu, T., Sugiyama, N., Yeom, Y. I. et al.: "Germline-specific expression of the Oct-3/4-green fluorescent protein (GFP) transgene in mouse."Dev. Growth Diff.. 41. 675-684 (1999)
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[Publications] Ueda, T., Sakagami, H,. Abe, K. et al.: "Distribution and intracellular localization of a mouse homlogue of Ca2+/calmodulin-dependent protein kinase Ib2 in the nervous system."J. Neurochem.. 73. 2119-2129 (1999)
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[Publications] Abe, K., Yamamura, K. and Suzuki. M.: "Molecular and embryological characterization of a new transgene-induced null allele of mouse Brachyury locus."Mammalian Genome. (in press).