2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11236204
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
深町 昌司 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助手 (20323446)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶋 昭紘 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 名誉教授 (60011590)
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Keywords | 生殖細胞 / メダカ / ゲノム安定性保持機構 / アポトーシス / p53 / 自然突然変異 / 色素細胞 / ポジショナルクローニング |
Research Abstract |
メダカの色素細胞形成遺伝子座における自然突然変異率を、特定座位法により約40万個体用いて調べたところ、雌雄とも一遺伝子座一世代当たり約8x10-6であった。この値はヒトやマウスで報告されている値とほぼ一致し、自然突然変異率が脊椎動物において種を越えて保存されていることを示した。また、ゲノムの安定性に関与する多数の遺伝子を単離・解析し、このような突然変異率が、特に雌生殖細胞では正確なDNA修復によって、また雄生殖細胞では特定の分化段階でのアポトーシスによる変異細胞の排除機構によって維持されることを示唆した。 次に、メダカの雌生殖細胞では、欠失や切断などの染色体レベルの自然突然変異が高頻度で生じることを見出した。これらはトランスポゾンを介さないこと、また変異頻度が種内の地域集団間で大きく異なることなどから、集団の生存力に対しては中立的な新しいゲノム変異機構が存在する可能性を示した。 更に、既に多数分離され系統維持されている色素細胞形成突然変異体を用いて、その原因遺伝子を突き止めることにより自然突然変異の成立機構を解析した。平成13年度にb遺伝子を単離し、平成15年度までには更にci及びi-3遺伝子の単離に成功した。これらの自然突然変異は、i, el, rs-3などで知られるようなトランスポゾン様因子の挿入ではなく、数〜数十塩基の重複、逆位、欠失であった。遺伝子の同定は全てポジショナルクローニング法により行われ、本領域で整備された研究基盤を活用することで、メダカに対しても順遺伝学的研究手法が十分効果的に機能することを強く示した。また、これら3つの遺伝子を同定した(うち2つは本研究で初めて機能が明らかになった)ことで、色素細胞の発生・進化に関する研究に対し新たな知見を提供することが出来た。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kuwahara Y, Shimada A, Mitani H, Shima A.: "Gamma-ray exposure accelerates spermatogenesis of medaka fish, Oryzias latipes"Molecular Reproduction and Development. 65・2. 204-211 (2003)
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[Publications] Shima A, Himmelbauer H, Mitani H, Furutani-Seiki M, Wittbrodt J, Schartl M.: "Fish genomes flying. Symposium on Medaka Genomics"EMBO Reports. 4・2. 121-125 (2003)
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[Publications] Aizawa K, Shimada A, Naruse K, Mitani H, Shima A.: "The medaka midblastula transition as revealed by the expression of the paternal genome"Gene Expression Patterns. 3・1. 43-47 (2003)