2003 Fiscal Year Annual Research Report
メダカ卵への遺伝子導入法および導入遺伝子発現制御法の開発
Project/Area Number |
11236208
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
木下 政人 京都大学, 農学研究科, 助手 (60263125)
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Keywords | メダカ / 遺伝子導入 / Cre / LoxP / インシュレーター / 緑色蛍光タンパク質 / 赤色蛍光タンパク質 |
Research Abstract |
小型で世代時間が短い等といったメダカ本来の特徴に加え、長年日本人が培った遺伝学的知見の蓄積等により、メダカが実験生物モデルとして重要視されている。本課題では、モデルとしてのメダカの重要性をより高め、より使いやすいものとするため、遺伝子改変技術という側面からメダカの実験基盤整備を目的とした。本課題で得られた成果は、以下の通りである。1)簡便な遺伝子導入技術の開発:遺伝子導入手段として顕微注入法が一般的であるが、これには独特の技術を必要とする。そこでより簡便な方法として、遺伝子銃を用いた方法をメダカに適応し、その至適条件を決定した。また、本法で作出された遺伝子導入メダカの形質が5世代以上にわたって安定に受け継がれることを証明した。2)簡便な遺伝子導入系統樹立法の開発:遺伝子導入処理を施したメダカから、導入遺伝子を生殖細胞系列に持つものを選抜することは、非常な労力と忍耐を必要とする。これを軽減するために生殖系列の細胞に特異的に発現するvasa遺伝子の発現制御領域を利用した、早期に、容易にできる選抜法を開発した。また、この課程で、vasa遺伝子3'非翻訳領域に生殖細胞特異的な翻訳制御を支配するエレメントがあることを明らかにした。3)導入遺伝子発現調節法の開発:近傍の塩基配列による、導入遺伝子の発現への影響を抑えるために、ウニ由来のインシュレーター配列がメダカでも有効であることを証明した。また、一本のmRNAから、複数の独立した翻訳産物を作るIRES作用を持つ約200塩基配列を発見した。メダカ個体内でCre-LoxPシステムを用いて遺伝子の人為的発現が可能なことを示した。4)蛍光標識を持つメダカ系統の作出:骨格筋、生殖細胞、肝臓、ほぼ全組織、神経に緑色または赤色蛍光を有するメダカ系統を作出した。これらの系統は、遺伝子発現解析等に有効な材料となる。
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Research Products
(12 results)
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[Publications] Kinoshita, M.: "A transgene and its expression profile are stably transmitted to offspring in transgenic medaka generated by the particle gun method."Zool.Sci.. 20. 869-875 (2003)
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[Publications] Ju, B.: "Development and gene expression of nuclear transplants generated by transplantation of cultured cell nuclei into nonenucleated eggs in the medaka Oryzias latipes."Dev.Growth Dif.. 45. 167-174 (2003)
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[Publications] Tanaka, M.: "Recent progress in the generation of transgenic medaka(Oryzias latipes)."Zool.Sci.. 18. (2001)
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[Publications] Tanaka, M.: "Establishment of medaka (Oryzias latipes) transgenic lines with the expression of green fluorescent protein fluorescence exclusively in germ cells : A useful model to monitor germ cells in a live vertebrate."Proc Natl Acad Sci USA. 98. 2544-2549 (2001)
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[Publications] Wakamatsu, Y.: "Fertile and diploid nuclear transplants derived from embryonic cells of a small laboratory fish, medaka(Oryzias latipes)."Proc Natl Acad Sci USA. 98. 1071-1076 (2001)
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[Publications] Yamauchi, M.: "Introduction of a foreign gene into medakafish using the particle gun method."J.Exp.Zool.. 287. 285-293 (2000)
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[Publications] 田中実: "「RNA翻訳制御による生殖細胞形成:メダカを中心に。」生殖細胞形成の根本原理を求めて。"細胞工学. 22. 1073-1076 (2003)
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[Publications] 田中実: "メダカの細胞ひとつひとつを光らせて生殖腺形成機構を解明する一生殖細胞系列特異的にRNA翻訳制御を指示するエレメントがわかった"化学と生物. 41. 278-280 (2003)
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[Publications] 田中実: "遺伝子機能解析のためのポストゲノム実験動物メダカ(生きたまま内蔵(細胞)を見られる「透明・遺伝子導入」メダカ)"生物物理. 43. 93-96 (2003)
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[Publications] 若松佑子: "生涯バイオイメージングのための新しいモデル動物"細胞工学. 21. 76-77 (2002)
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[Publications] 木下政人: "トランスジェニックフィッシュ系統の作出とプロモーター解析"蛋白質核酸酵素. 45. 2954-2961 (2000)
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[Publications] Kinoshita, M.: ""Transgenic medaka as a model for fish biology and aquaculture."in Aquatic Genomics-Steps Toward a Great Future"Springer-Verlag Tokyo. 9 (2003)