2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11237201
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福田 真 京都大学, 生命科学研究科, 助手 (60283678)
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Keywords | NES / Daf-16 / 線虫 |
Research Abstract |
今回、インスリン刺激に応答して核から細胞質に移行する転写因子Daf-16に着目して研究を行った。Daf-16はフォークヘッド型転写因子であり、インスリンシグナル伝達経路の最下流に位置する転写因子である。インスリンシグナル伝達経路は、線虫の寿命を制御することが知られているので、Daf-16の標的遺伝子を検索することで、寿命に関わる遺伝子群の単離が出来るのではないかと考えた。まずDaf-16のDNA結合配列を線虫ゲノム上から検索し、Daf-16の下流の因子の検索を行った。その結果、Daf-16のDNA結合配列を有しかつ哺乳類にホモログが存在する遺伝子を159個同定した。その中から、N末端にシグナル配列を有する遺伝子を見い出し、207アミノ酸残基からなる分泌因子に着目した。その遺伝子をscl-1と名付けた。scl-1は、長寿変異体(daf-2とage-1)で発現が亢進しており、一方短命の変異体であるdaf-16変異体ではscl-1の発現は検出できなかった。また、daf-2(インスリン受容体ホモログ)長寿変異体中でscl-1のRNAiを行うと、daf-2変異体の寿命の延長が観察されないことから、インスリン経路の寿命制御にscl-1の発現が必須であることが明らかとなった。線虫の寿命を制御するシグナル伝導経路の下流のひとつをはじめて同定することができた。
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[Publications] Ookuma, S., Fukuda, M., Nishida, E.: "Identificaton of a DAF-16 Transcriptional Target Gene, scl-1, that Regulates Longevity and Stress Resistance in Caenorhabditis elegans"Current Biology. 13. 427-431 (2003)