2002 Fiscal Year Annual Research Report
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11237208
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
藤田 尚志 (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 副参事研究員 (10156870)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 伸昌 (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (00270687)
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Keywords | 遺伝子 / ウイルス / シグナル伝達 / 発現制御 / 免疫 / 核移行 / コアクティベーター / 燐酸化 |
Research Abstract |
ウイルス感染が起きた細胞内では、はじめにIFN遺伝子を含む種々の遺伝子の発現が誘導され、抗ウイルス作用などの生体防御機構が働くことになる。我々はこの一連の活性化機構のうちIRF-3が最初に活性化される転写因子である事を明らかにしてきた。これまでにIRF-3の活性化は新たな蛋白質合成を必要とせず、既存の分子の燐酸化等による修飾、分子の会合を介していることを明らかにした。すなわちIRF-3の特異的な燐酸化の結果2量体が形成され、そこにコアクティベーターであるp300/CBPが複合体に加わり活性化型のホロ複合体になる。今年度は北大、稲垣教授のグループと共同でIRF-3のDNA結合ドメインを含まない部分の構造決定を行った。 解かれた構造により、IRF-3はSmadと立体構造的において類似していることが明らかとなった。SmadはTGF-βによるシグナルの下流で活性化される転写因子であり、これまで上流のシグナル並びに下流の標的遺伝子において、インターフェロン系との関連は全く考えられていなかった。両者は一次構造上は類似性が低いものの、重要と考えられるアミノ酸残基の保存が見い出されることから、共通の祖先から進化した遺伝子と考えられた。 構造上重要と考えられるアミノ酸残基の変異を導入して機能解析を行った結果、これまでHiscottらにより提唱されていた阻害ドメインによるモデルは正しくないこと、IRF-3は構造上Smadと類似しているのみではなく、燐酸化残基とそれを受容するポケットによって、多量体形成を行うという機能的類似性も明らかとなった。さらにSmadの場合、受容ポケットはSmadのキナーゼであるI型受容体がSmadを捉えて燐酸化する際に重要であることが明らかとなっているが、生理的なシグナルによってIRF-3が燐酸化される場合にもポケットが重要であることが判明した。このことはインターフェロン系の活性化に極めて重要なIRF-3キナーゼの解明への有力な手掛かりになるものと考えられる。
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[Publications] Yoneyama, M., Suhara, W., Fujita T.: "Control of IRF-3 activation by phosphorylation"J.Interferon and Cytokine Res.. 22. 73-76 (2002)
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[Publications] Shinobu, N.et al.: "Involvement of TIRAP/MAL in signaling for the activation of interferon regulatory factor 3 by lipopolysaccharide"FEBS Letters. 517. 251-256 (2002)
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[Publications] Suhara, W., Yoneyama, M., Kitabayashi, I., Fujita, T.: "Direct involvement of CREB-binding protein/p300 in sequence-specific binding of virus-activated interferon regulatory factor-3 holocomplex:"J.Biol.Chem.. 277. 22304-22313 (2002)
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[Publications] Sato, S.et al.: "A variety of microbial components induce tolerance to lipopolysaccharide by differentially affecting Myd88-dependent and -independent pathways"International Immunology. 14. 783-791 (2002)
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[Publications] Yamamoto, M.et al.: "Essential role of TIRAP/Mal for activation of the signaling cascade shared by TLR2 and TLR4"Nature. 420. 324-329 (2002)
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[Publications] Kimura Y, Koitabashi S, Kakizuka A, Fujita T.: "Circumvention of chaperone requirement for aggregate formation of a short polyglutamine tract by the co-expression of a long polyglutamine tract"J.Biol.Chem.. 277. 37536-37541 (2002)