2003 Fiscal Year Annual Research Report
アブラナ科自家不和合性におけるS遺伝子座上遺伝子群の機能解明
Project/Area Number |
11238201
|
Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
渡辺 正夫 岩手大学, 農学部, 助教授 (90240522)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 剛 大阪教育大学, 教育学部, 助教授 (10314444)
|
Keywords | アブラナ科植物 / 自家不和合性 / 自他識別 / S遺伝子 / 優劣性 / SP11遺伝子 / SLG遺伝子 / SRK遺伝子 |
Research Abstract |
S対立遺伝子間の優劣性に関しては、花粉側でのSP11の発現に着目し高い席を行い、SP11の転写制御領域であると考えられるATGより-300bp領域では69.2-85.5%の相同性を有することがわかった。またこれらの領域にはDNAのメチル化の修飾を受けるとされるCpG,CpNpG配列がハプロタイプ間で保存されて存在している場所と、ハプロタイプ特異的な場所が存在していた。 昨年度、見出した一側性不和合性を制御する遺伝子座は、S遺伝子型の分離とは一致しないことを明らかにし、少なくともここで見出した一側性不和合性において、花粉側表現型を決める遺伝子座とS遺伝子座は、独立の遺伝子座によって制御されていることを明らかにした。今後は、柱頭側一側性不和合性の遺伝分析を行うとともに、花粉側を制御する遺伝子を単離するためのマッピングを行うことを計画している。 SLGが欠失していると考えられたB. campestris S36系統を使って、柱頭cDNAライブラリーを作製した。eSRK,SRKなどのカタログ化することを目的として、SLG45 cDNAをプローブとして、スクリーニングを行い、positive cloneについて、その両末端から塩基配列を決定した。独立な100クローンの部分塩基配列を決定したが、そのほとんどが、SLR1,SLR2であり、eSRK,SRKのカタログ化は困難であった。 Brassica campestris S9系統に0.2%EMS処理を行ったM2世代のミツバチスクリーニングから見いだした和合と考えられる7系統について、顕微鏡観察を行ったところ、1系統(#11-11)のみが和合性と判断できた。S9系統との相互交配実験から、この和合性が柱頭側での変異により和合性になったことが明らかになった。この和合性系統と他のS系統との交配を行い、遺伝解析を開始した
|
-
[Publications] Shiba, H: "Genomic organization of the S locus region of Brassica."Biosci.Biotech.Biochem.. 67. 622-626 (2003)
-
[Publications] Suzuki, G.: "The S haplotypes lacking SLG in the genome of Brassica rapa."Plant Cell Rep.. 21. 911-915 (2003)
-
[Publications] Murase, K: "A membrane-anchored protein kinase involved in Brassica self-incompatibility signalling."Science. 303. 1516-1519 (2003)
-
[Publications] 渡辺正夫: "アブラナ科植物の自家不和合性の認識反応を制御する遺伝子の分子生物学的解剖"The Annals of Intelligent Cosmos Academic Foundation. 8. 13-16 (2003)
-
[Publications] 渡辺正夫: "生態学事典"巌佐庸ら編(共立出版). 682 (2003)