2001 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト人工染色体を用いたセントロメアの高次調節機構の解析
Project/Area Number |
11239202
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
舛本 寛 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 講師 (70229384)
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Keywords | セントロメア / テロメア / アルフォイドDNA / 酵母人工染色体(YAC) / ヒト人工染色体 / CENP-B |
Research Abstract |
本代表者らは、ヒト培養細胞内でヒト人工染色体を高い頻度で形成させる系を開発し、導入ヒト染色体セントロメア由来DNAに依存してセントロメア・キネトコア蛋白群が人工染色体上に集合して機能することを明らかにした。これまでセントロメア近傍のヘテロクロマチンは、この領域に挿入された遺伝子が不活性化される位置効果を示すことから、遺伝子発現のサイレント化と深く係わっていることもよく知られている。代表者らによる研究でも人工染色体上の薬剤耐性遺伝子からの転写と人工染色体形成効率には密接な関連があることが解ってきた。そこで本研究では、哺乳動物の染色体・クロマチンレベルでの転写とセントロメア機能との関連や基本的な染色体機能装置相互間の高次調節機構を解明することを目的として、ヒト人工染色体を用いながら、(1)セントロメア形成に必須な要素の解析、(2)セントロメア形成に伴うクロマチン構造の解析、(3)ヘテロクロマチン化と遺伝子のサイレント化に関する解析、(4)人工染色体のマウス個体への導入法の検討、等の研究を進めた。その結果(1)アルフォイド配列中のCENP-B boxが新規セントロメア構造形成に必要であること。(2)セントロメア形成に関わる蛋白質CENP-BとCENP-Cは相互作用すること。(3)導入DNAに依存したセントロメアのクロマチン構造形成がヘテロクロマチン化により不活性化すること。この時薬剤耐性遺伝子からの転写も低下していること。逆に耐性遺伝子の転写活性化やヒストン脱アセチル化酵素の阻害がYAC上のクロマチン構造を変化させ、不活性化セントロメアを再活性化できること等を明らかにした。(4)マウス受精卵へ人工染色体候補DNAをインジェクションし、導入DNAを保持するトランシュジェニックマウスは得られたが、まだ独立の人工染色体を保持する個体は得られていない。
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Research Products
(1 results)