2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11239207
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
土屋 英子 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 教授 (90127671)
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Keywords | S.cerevisiae / クロマチンリモデリング複合体 / プロテインキナーゼC / 微小管結合蛋白 / 減数分裂 |
Research Abstract |
出芽酵母の生育に必須なクロマチンリモデリング因子RSCは15のサブユニットからなり、細胞周期のG2/M期の進行に必須な役割を果している。我々は、RSCこの複合体の活性サブユニットをコードするNPS1の温度感受性変異株の解析により、RSC複合体が、増殖に伴うセントロメア等の染色体の特定部位での染色体高次構造の形成・維持に働いている事、この複合体の細胞周期における作用時期がS期後期からG2期である事、減数分裂過程にも必須である事などを明らかにしてきた。本研究は、Nps1蛋白、RSCの機能構造の解析、細胞増殖・分化に伴う染色体高次構造形成・維持におけるRSCの機能解析、及びRSCと染色体複製装置や分配装置等との機能的連携機構の解析を行い、真核細胞における染色体機能調節機構を明らかにする事を目的としている。本年度の研究では、(1)RSCの機能調節に関わる因子の同定を目的として、nps1変異を遺伝子量の増加によって抑圧する多コピーサプレッサー遺伝子(HSN遺伝子)の取得と解析を行った。この結果、NPS1自身を含む9種の遺伝子を取得し、これらの内4種がPKC1(プロテインキナーゼCのホモログをコード)と、この活性化に働くものであることを明らかにした。PKC1は、酵母においてMAPキナーゼ経路の活性化を通じ、細胞壁形成を制御することが知られている。NPS1とPKC1の機能的関連を詳細に解析した結果、PKC1によるnps1変異の抑圧は、上述の経路とは異なる新しい経路、あるいは下流の因子の活性化によるものであることを明らかにした。HSN遺伝子の機能的関連をさらに詳細に解析した結果、PKC1は微小管結合因子BIMN1を活性化することを見いだした。(2)新規なnps1変異株を取得し、この変異をホモに持つ2倍体が胞子形成不能であることを見いだした。この原因を解析した結果、減数分裂初期遺伝子の転写量低下に加え、減数分裂中後期遺伝子の一部も誘導されていないことを見いだした。
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Research Products
(1 results)