1999 Fiscal Year Annual Research Report
真核生物染色体DNAの複製開始・伸長のMcm10タンパク質によるモニター機構
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11241202
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川崎 泰生 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (30243257)
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Keywords | 出芽酵母 / Mcm10 / 複製開始 / Dna2 / 合成致死 / 複製フォーク |
Research Abstract |
真核生物共通の染色体複製のメカニズムを解明するために出芽酵母をモデル系として、染色体DNAの複製に必要である幾つかの因子について遺伝学的、生化学的、および細胞生物学的なアプローチを行ってきた。Mcm10タンパク質は真核生物間で保存されているMcm2-7蛋白質ファミリーと物理的に相互作用しており、複製開始に必須な因子であることがわかっている。また、以前の解析から、Mcm10は複製開始複合体の活性化および活性化されなかった複製開始複合体の解離に必要であることを示唆する結果が得られている。我々は、Mcm10は常に核内に局在してORC(Origin Recognition Complex)と物理的にも機能的にも相互作用していることを見い出した。我々はmcm10変異株では複製開始のみならずS期の完了も正常に行われていないことを見い出したので、伸長過程における役割を調べるためにDNAポリメラーゼII(ε)、DNAポリメラーゼII(δ)等、複製フォークの構成因子の欠損株とmcm10変異との二重変異株を作成して解析したところ、多くの二重変異株で生育異常が増強されることが分かった。また、チェックポイントに異常があるrad53変異とmcm10変異との二重変異株も生育異常が見られて非許容温度では、異常な細胞分裂が起っていた。これはmcm10変異では染色体複製が正常に行われず、チェックポイント機能無しでは生育できないためと考えられる。一方、mcm10変異との合成致死変異を分離することにより遺伝学にMcm10と相互作用する因子の分離を進めており、その一つが新生鎖のプロセシングに関与していると考えられているDna2であることがわかった。以上の様に、Mcm10は複製フォークの機能に積極的に関与している可能性と、Mcm10の欠損がS期の進行全体に影響を及ぼす可能性が示唆された。
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[Publications] Kamimura, Y. et al.: "DNA helicase III of S. cerevisiae, encoded by YER176w (HEL1), highly unwinds covalently closed circular DNA in the presence of a DNA topoisomerase and yRF-A"Journal of Biochemistry. 125. 236-244 (1999)