2001 Fiscal Year Annual Research Report
真核生物染色体DNAの複製開始・伸長のMcm10タンパク質によるモニター機構
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11241202
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川崎 泰生 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (30243257)
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Keywords | DNA複製 / Mcm10 / 出芽酵母 / 複製フォーク |
Research Abstract |
真核生物共通の染色体複製のメカニズムを解明するために出芽酵母をモデル系として、染色体DNAの複製に必要である幾つかの因子について遺伝学的、生化学的、および細胞生物学的なアプローチを行ってきた。Mcm10は核内に局在してORC(Origin Recognition Complex)と共局在し、G1期においてはMcm7の局在とも一致するので核内の複製開始場所をつかさどっていることが示唆された。mcm10変異との合成致死変異を分離することにより遺伝学的にMcm10と相互作用する因子をスクリーニングしたところ、6種類の相補群に分けられる変異を分離することができた。そのうち、複製開始に関与する因子の変異が分離され、これはMcm10が複製開始に関与することを積極的に支持した。また、一つが新生鎖のプロセシングに関与していると考えられているDNA2であることがわかった。Mcm10は複製フォークの機能に積極的に関与し、Mcm10の欠損がS期の進行全体に影響を及ぼす可能性が示唆された。また、新規の遺伝子SLM2、SLM6が得られ、それらの変異株の表現型を解析したところ、DNA傷害剤に感受性を示した。mcm10変異株では複製フォークの進行がゲノム上の至る所で妨げられ、異常な複製中間体が蓄積することを考えあわせると、Slm2/Slm6はこの様な複製異常を認識、修復している可能性がある。一方、アフリカツメガエルのMcm10ホモログを分離することが出来たのでその解析を進めている。アフリカツメガエルMcm10の抗体を作成し、卵抽出液を用いた試験管内複製系でMcm10を免疫除去しても予想に反してDNA複製は進行した。しかし、複製に伴ってMcm10がクロマチン画分に蓄積していくという興味深い現象が見られ、複製開始から複製フォークの形成に関与していることを示唆する結果を得た。
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Research Products
(1 results)