2002 Fiscal Year Annual Research Report
膜タンパク質の1分子レベルでのイメージング,ナノマニピュレーション
Project/Area Number |
11242201
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
石島 秋彦 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (80301216)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 究 金沢大学, 自然科学研究科, 助手 (70301190)
本間 道夫 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50209342)
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Keywords | べん毛モーター / 回転運動 / 1分子計測 / 生体分子モーター / バクテリア / 電気化学ポテンシャル / イメージング / 遺伝子 |
Research Abstract |
本研究の目的は,ナトリウム駆動型べん毛モーターの回転メカニズムを解明することにある.そのために,様々な負荷を与えた状態でのモーターの回転をナノメーターレベルでの計測を行った. 回転の計測には,べん毛部にポリスチレンのビーズを固定し,その位相差像を4分割フォトダイオードに投影することにより行った.ビーズを結合することにより,べん毛モーターには生理的環境下とは違う負荷を与えてしまうが,逆に様々なサイズのビーズを固定した状態での回転速度を計測することにより,モーターに様々な負荷を与えることができる.モーターの発生トルクは回転角速度×粘性抵抗係数で表すことができる.この粘性抵抗係数は固定したビーズの自転項,公転項に加えて,べん毛自体にかかるものの和となる. ビーズの径を0.4ミクロン〜1.6ミクロンまで変えて実験を行った結果,ほぼ回転速度全域におけるトルク特性を計測することに成功した.その結果,発生トルクは低回転域(〜300Hz)では一定となり,それ以上の回転域において減少する傾向となった.この結果は,プロトン駆動型のモーターと同様であり,ナトリウム駆動型のべん毛モーターと,プロトン駆動型とでは回転メカニズムは共通のものであることを示唆する. さらに,外液のナトリウム濃度を変化させたときの回転速度-トルク関係を計測し,その結果を単純な4状態モデルでシミュレートした結果,非常によい結果を導き出すことに成功した.この結果,モーターの回転には単純な電気化学ポテンシャル(イオンモーティブフォース)だけでなく,イオンの結合・解離を考慮に入れなくてはならないことが明らかになった.
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[Publications] Y.Ishii, et al.: "Coupling between chemical and mechanical events and conformation of single protein molecules"Results and Problems in Cell Differentiation. 36. 87-105 (2002)
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[Publications] K.Kitamura, et al.: "Single Molecule Nanobiotechnology"AAPPS Bulletin. 11・4. 2-8 (2002)
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[Publications] T.Yorimitsu, et al.: "The Systematic Substitutions Around the Conserved Charged Residues of the Cytoplasmic Loop of Na(+)-driven Flagellar Motor Component PomA"J.Mol.Biol.. 320・2. 403-413 (2002)
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[Publications] Y.Ishii, et al.: "Coupling between chemical and mechanical events and conformation of single protein molecules"Results and Problems in Cell Differentiation. 36. 87-105 (2002)
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[Publications] Y.Kimura, et al.: "Mechanical properties of Chara myosin"Biophysical Journal. 82・1. 1999 Part 2 (2002)
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[Publications] Y.Sowa, et al.: "Torque-speed relationship of the Na+-driven flagellarmotor of vibrio alginolyticus"Journal of Molecular Biology. (in press). (2003)