2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11242203
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
今本 尚子 理化学研究所, 細胞核機能研究室, 主任研究員 (20202145)
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Keywords | 核-細胞質間輸送 / 核膜孔複合体 / 輸送担体 / importinβ / 蛍光1分子イメージング / 低分子量GTPase Ran |
Research Abstract |
レーザー光による全反射照明法を応用した、細胞内で1分子イメージング可能な蛍光顕微鏡法を用いて、GFP標識した輸送担体importinβの核膜孔複合体上での挙動を、セミインタクト細胞を用いたin vitro輸送系で観察した。10nMオーダーのGFP-importinβを反応させて、核膜孔複合体に結合したGFP-importinβ1分子を捉えることにはじめて成功した。輝点の寿命から、GFP-importinβが核膜孔複合体に滞在する時間が求められる。反応させるGFP-importinβの濃度を増やすと、核膜孔1個1個に対応すると考えられる点像からなる蛍光像が得られた。蛍光輸送担体1分子と、核膜孔1個の蛍光強度を比較することによって、1つの核膜孔に結合するimportinβの分子数を定量することができる。様々な分子濃度のGFP-importinβと反応させた核膜孔複合体に結合するGFP-importinβの分子数を求めたところ、核膜孔にはimportinβに対する8個前後の非常に強い結合サイトと、およそ100個程度の比較的弱い結合サイトが存在することをはじめて明らかにした。GFP-importinβがRanの作用なしでは核膜孔を通過しない基質存在下では、強い結合サイトへの結合がみられなかった。GFP-importinβ1分子の滞在時間を詳細に解析すると、importinβ単独では、短く滞在するものと、長く滞在するものが見られた。基質をのせたimportinβの中に、核膜孔上で長く滞在するpopulationはみられなかった。このことから、短い滞在時間を示すものは、弱い結合サイトに結合し、長く滞在するものは、強い結合サイトに結合したものと考えられる。低分子量GTPase Ranを加えると、強い結合サイトへの結合数が増加するという結果を得た。以上の知見から、核膜孔複合体の多数の弱い結合サイトは通過する分子を集める役割を果たし、集められた分子が強い結合サイトへ結合してはじめて孔を通過するという、新規の通過モデルが提唱できる可能性がでてきた。
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