2001 Fiscal Year Annual Research Report
DNA・タンパク質相互作用の1分子イメージングと計測
Project/Area Number |
11242204
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
原田 慶恵 財団法人東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 副参事研究員 (10202269)
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Keywords | DNA / タンパク質 / RNAポリメラーゼ / イメージング / 顕微鏡 / 転写 |
Research Abstract |
昨年までに、RNAポリメラーゼとDNAの転写複合体をガラス基板上に固定し、DNAの片端につけたビーズの動きを観察した結果、RNAポリメラーゼは、10塩基対で1回転するDNAの右巻き2重らせん構造を正確になぞりながら、転写していることがわかった。すなわち、RNAポリメラーゼがDNA塩基配列上を1塩基進む間にDNAを中心軸として、36度回転することが示唆された。そこで、RNAポリメラーゼがヌクレオチドを付加する転写反応の分子メカニズムを明らかにするために、RNAポリメラーゼが個々のヌクレオチドを付加するごとにおこる、36度ずつの回転を検出する系を確立し、転写反応の素過程、すなわち、1ヌクレオチドを付加する反応過程を可視化することを目指す実験を行った。 まず、十数残基単位の繰り返し配列DNAを作成し、この配列を転写する際にみられるDNA回転運動のステップを検出することから始めることにした。そこで、5'側にT7A1プロモーター、その後Aが2個A以外の塩基が11個(AANNNNNNNNNNN)という配列が45回繰り返し、3'端には、回転観察のためのビーズを結合させるビオチン化部位という特殊な配列を持った、全長およそ0.25μmのDNAを調製した。シミュレーションの結果、このDNAを鋳型に用いた場合、溶液中のGTP、CTP、UTP濃度を各々2μM、ATP濃度を0.5μM程度にすると、Aの部分で転写が遅くなることによって、DNAの回転が断続的になることが予想される。現時点では、断続的なDNAの回転運動を再現性よく観察するまでには至っていない。 以上のような高精度な計測を成功させるためには、転写に伴うDNAの回転運動を容易に観察できることが大事である。そこで、転写に伴うDNAの回転運動を高効率で検出できるようにRNAポリメラーゼαサブユニットの遺伝子を改変しのC末端側にヒスチジンタグを付加し、このヒスチジンタグを介して基板上に固定できるようにした。
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