2002 Fiscal Year Annual Research Report
DNA・タンパク質相互作用の1分子イメージングと計測
Project/Area Number |
11242204
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
原田 慶恵 財団法人東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 副参事研究員 (10202269)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
船津 高志 早稲田大学, 理工学部, 教授 (00190124)
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Keywords | 生物物理 / 分子モーター / 1分子計測 / 可視化 / 酵素反応 |
Research Abstract |
これまでに、我々は大腸菌のRNAポリメラーゼとDNAの転写複合体をガラス基板上に固定し、DNAの片端に付けたビーズの動きを観察した結果、RNAポリメラーゼは、10塩基対で1回転するDNAの右巻き2重らせん構造を正確になぞりながら、転写しているらしいことがわかった。この実験から、RNAポリメラーゼは1塩基転写するごとにDNAを中心軸として、36度回転することが示唆された。そこで、転写反応の分子メカニズムを明らかにするために、RNAポリメラーゼが個々のヌクレオチドを付加するごとに起こる、36度ずつの回転を検出する系を確立し、転写反応の素過程、すなわち、1ヌクレオチドを付加する反応過程を可視化することを目指す実験を行うことにした。このような高精度な計測を成功させるためには、転写に伴うDNAの回転運動を容易に観察できることが大事である。これまでの実験系では、DNAの回転運動を観察できる確率が非常に低いことが実験を行う上での大きな問題点であった。これは恐らく、RNAポリメラーゼをガラス基板上に固定する際に、転写活性に重要な部分が変性してしまうことが原因であると考えられる。そこで、4種類のサブユニットα_2ββ'σからなる大腸菌RNAポリメラーゼのうち、転写活性にほとんど関与しないαサブユニットのC末端部位にヒスチジンタグ配列を付加した組換えタンパク質を大腸菌に発現させ、ヒスチジンタグ付きRMAポリメラーゼ複合体を精製した。このRNAポリメラーゼを用いて転写反応に伴うDNAの回転を観察したところ、改変前のものと同様の回転運動が観察された。しかし、回転運動を高効率で観察することは出来なかった。これはRNAポリメラーゼやDNAとNi-NTA間の非特異的な結合が原因だと考えられる。そこで現在は、この非特異的な結合をブロックできる条件を検討することと平行して、非特異的な結合がより少ないと考えられるビオチン-ストレプトアビジン結合を用いた方法を試みている。
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[Publications] Funatsu, T.: "Rapid and Sensitive Detection Method of A Bacterium Using GFP Reporter Phage"Microbiol.Immuno.. 46. 365-369 (2002)
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[Publications] Fujiwara, I.: "Microscopic analysis of polymerization dynamics with individual actin filaments"Nature Cell Biol.. 4. 666-673 (2002)
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[Publications] 座古保: "生体機能を1分子レベルで探る-1分子蛍光イメージング-"分光研究. 51. 3-14 (2002)
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[Publications] 原田 慶恵: "1分子の動きを見て生体分子の機能を探る"光技術コンタクト. 40・12. 19-26 (2002)
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[Publications] Shirasaki, Y.: ""A Novel Biomolecule Sorter Using Thermosensitve Hydrogel in Micro Flow System" Micro Total Analysis System 2002"Kluwer Academic Publishers. 3 (2002)
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[Publications] 船津高志: "「1分子蛍光イメージング法」感覚器官と脳内情報処理"共立出版. 8 (2002)
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[Publications] 原田慶恵: "「DNA, RNAポリメラーゼ」生物物理学ハンドブック"朝倉書店(印刷中).
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[Publications] 原田慶恵: "「DNAモーターを測る」ナノテクノロジーハンドブック"オーム社(印刷中).
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[Publications] 原田 慶恵: "「生体分子の1分子イメージング」生命の科学と工学-その最先端"三共出版(印刷中).