Research Abstract |
実関数論的調和解析の分野では,宮地,佐藤,薮田らが,最大関数を用いて重み付きHardy関数空間やHerz型Hardy空間の詳しい性質を調べ,特異積分作用素や振動積分作用素の重み付き弱(1,1)評価,滑らかでない積分核を持つ特異積分作用素の評価,特異積分作用素の積として定義される多重線型作用素のHardy空間での評価,などを得た.偏微分方程式の研究では,大鍛治,儀我らが,Wigner変換を用いてSchrodinger方程式の解の特異性の伝播を調べ,Maxwell方程式やDirac方程式,Schrodinger方程式に関する強一意接続定理を示し,Hardy空間の評価法をStokes流の評価に応用し,Navier-Stokes方程式の初期値問題で空間2次元の場合に空間無限遠で減衰しない初期速度に対して大域可解性を示した.また,小林,剱持らは,Banach空間における半線型発展方程式に対するC^1級近似の慣性多様体を構成し,相転移を記述する非線型力学系のアトラクターを調べた.代数解析では,田島,大阿久らが,多変数留数の双対性を計算するアルゴリズム,代数多様体のde RhamコホモロジーをD加群を経由して計算するアルゴリズム,D加群の局所化の計算アルゴリズム,などを得た.作用素環関数環の分野では,長,片山,綿谷,田中らが,Putnam不等式の拡張,作用素環の因子環への作用の分類,C^*環の指数理論と双対加群の研究,Bohr群上の単一生成元問題の解決,などの結果を得た.表現論・調和解析の研究では,若山,梅田,河添らが,階数1の半単純Lie群上のHardy空間の構成,Pfaffianの和公式とその応用,典型Lie環の普遍包絡環の中心の種々の関係を導く,などの結果を得た.量子数理と作用素の研究では,大矢,宮島らによって,NP完全問題を量子アルゴリズムとカオス理論を用いて解く研究,p-hyponormal作用素のクラスの研究,などに成果があった.
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