2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11304012
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
常田 佐久 国立天文台, 太陽物理学研究系, 教授 (50188603)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 敏文 国立天文台, 太陽物理学研究系, 助手 (60311180)
渡邊 鉄哉 国立天文台, 電波天文学研究系, 教授 (60134631)
柴崎 清登 国立天文台, 電波天文学研究系, 教授 (90023689)
熊谷 收可 国立天文台, 太陽物理学研究系, 助手 (50161691)
鹿野 良平 国立天文台, 太陽物理学研究系, 助手 (70321586)
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Keywords | 気球 / 硬X線 / 半導体検出器 / カドミウムテルライド / 太陽フレア |
Research Abstract |
太陽フレアが発生すると10KeV-10MeVの高エネルギー電子と3千万-1億度の熱プラズマが短時間に大量に発生する。これまで、シンチレーターによる硬X線スペクトルの観測が精力的に行われてきたが、エネルギー分解能が十分でないため、20-40KeV付近にある熱的X線と非熱的X線の分離を行うことができず、重要な非熱的スペクトルの抽出が行えなかった。本研究は、フレア捕獲率の高い太陽活動極大期に、新開発のエネルギー分解能の高いテルル化カドミウム検出器16台を用いた気球搭載用精密スペクトル計を開発し、観測を行うことを目的としている。観測装置は、平成13年夏に完成し、平成13年8月29日に宇宙科学研究所三陸気球基地より高高度気球B80-6により打ち上げられ、高度42kmでの観測に成功した。太陽フレアは捕獲できなかったものの、良好のバックグラウンドデータを取得し、装置は完壁に動作した。すなわち昼間観測にもかかわらず、検出器は、-10度C程度に安定に冷却され、検出器のエネルギー分解能は、2.5KeV-3KeVと同種の装置では世界最高レベルであった。搭載装置は、日本海上空で切り離され、海上より無事回収された。これにより、これまでにない高いエネルギー分解能のX線スペクトル計を開発し、実際の飛翔により性能を実証するという本研究の第1の目的については、予想以上の成果を収めることができた。しかし第2の目的である、それを用いた粒子加速機構の研究は、太陽フレアが発生しなかったため、行うことができなかった。本研究は今年度で終了するが、幸い開発した装置は無傷で海上から回収されたため、平成14年度5月に再度飛翔実験を行うことが決定している。
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