2000 Fiscal Year Annual Research Report
極低温走査トンネル分光顕微鏡法による非BCS超伝導体の秩序変数の対称性の研究
Project/Area Number |
11304021
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
西田 信彦 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (50126140)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 正成 静岡大学, 理学部, 助手 (20281058)
金子 真一 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (40301171)
坂田 英明 東京理科大学, 理学部・物理学科, 助教授 (30215636)
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Keywords | 極低温走査トンネル分光顕微鏡 / 高温超伝導体 / 重い電子系超伝導体 / 超伝導量子磁束格子 / Bi_2Sr_2CaCu_2O_x / YNi_2B_2C / クーパー対軌道対称性 / 超伝導準粒子状態密度 |
Research Abstract |
昨年開発した液体^3He蒸発冷却走査トンネル分光顕微鏡は、原子長空間分解能かつ高エネルギー分解(10μV)でトンネル分光が可能で、0.45Kの温度領域、6Tの高磁場で安定してはたらいている。これを用いて、高温超伝導体Bi_2Sr_2CaCu_2O_x、UやCeを含む重い電子系超伝導体(UPd_2Al_3、CeRu_2)、Sr_2RuO_4、RNi_2B_2C(R=Y,Er,Ho)の異方的またはその可能性が強い超伝導体や磁気秩序と超伝導が共存する磁性超伝導体の極低温までのトンネル分光測定や境界効果、量子磁束状態を測定し、そのクーパー対軌道状態対称性を研究した。以下の成果をあげた。 (1)4.2K、8T下Bi_2Sr_2CaCu_2O_xにおいて短距離秩序量子磁束格子を初めて発見した。CuO_2面の[110]方向を辺とする正方格子であった。また、量子磁束芯に固有準粒子束縛状態が存在することをはじめて明瞭に示した。また、量子磁束状態が乱れに大きく影響を受けることを見つけた。これらは、ドイツHamburugで開催されたSPS2000国際会議で口頭発表した。現在、論文準備中。高温超伝導理解に新しい観点を与える結果であると考えている。(2)YNi_2B_2C,ErNi_2B_2Cトンネル分光を0.45Kの低温領域まで行い、この超伝導体は異方的なs波超伝導体であることを見つけた(平成13年春の物理学会で発表予定)。(3)CeRu_2においては磁束格子観測に成功したが、UPd_2Al_3、Sr_2RuO_4においてはLT-STS法で超伝導が観測されなかった。理由は不明であり研究を継続している。これらの実験と平行して、さらに低い温度で走査トンネル分光実験を可能にするために、^3He-^4He希釈冷却器に我々が開発したSTMプローブを組み込み実験温度領域を0.2Kまで広げることに成功した。これを用いて、重い電子系超伝導体UPt_3、CeCoIn_5の研究を行う予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] N.Nishida,S.Kaneko,H.Sakata,H.Kajiwara,M.Matsumoto 他7名: "Studies of Boundary Effects and Symmetry of Cooper Pairing In Bi2Sr2CaCu2Ox"Physica B. 284・288. 967-968 (2000)
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[Publications] H.Sakata,N.Nishida, 他6名: "Vortex Lattice and Quasiparticle Density of States in CeRu2 Studied by Scanning Tunneling Spectroscopy"Journal of the physical Society of Japan. Vol.69/No.7. 1970-1973 (2000)
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[Publications] H.Sakata,M.Oosawa,K.Matsuba,N.Nishida,H.Takeya,K.Hirata: "Imaging of Vortex Lattice in Single Crystal YNi2B2C by STM"Physica C. 341・348. 1015-1018 (2000)
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[Publications] S.Kaneko,Y.Ono and N.Nishida: "Columnar Defect-induced Starin and Superconductivity in Bi2Sr2CaCu2Ox Observed by LT-STS/STM"Surface Science. 印刷中. (2000)
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[Publications] N.Nishida: "Studies of superconductors by scanning tunneling microscopy and spectroscopy"RIKEN Review. 27. 38-40 (2000)