1999 Fiscal Year Annual Research Report
繰り返し注水実験による野島断層の強度回復の検出および誘発地震発生メカニズムの解明
Project/Area Number |
11304025
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
島崎 邦彦 東京大学, 地震研究所, 教授 (50012951)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大志万 直人 京都大学, 防災研究所, 助教授 (70185255)
安藤 雅孝 京都大学, 防災研究所, 教授 (80027292)
西上 欽也 京都大学, 防災研究所, 助教授 (00189276)
山岡 耕春 名古屋大学, 理学研究科, 助教授 (70183118)
山野 誠 東京大学, 地震研究所, 助教授 (60191368)
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Keywords | 注水試験 / 断層回復過程 / 透水率 / 野島断層 / 兵庫県南部地震 / 活断層深部構造 / 誘発地震 / 破砕帯トラップ波 |
Research Abstract |
注水試験を2000年1-3月にかけて実施した。注水は大きく3回に分けて行われ、孔口での圧力は各々、3、4、4.5MPaと順次増加された。1800m孔は全ケーシングのうち、孔底付近の深さ約150m区間にのみジェット・パフォレーションが施されている。注水に伴い多項目にわたる観測が行われ、これまでのところ以下の結果が得れている。なお、*印は97年注水試験時とほぼ同じ変動パターンであることを示す。 (1)4MPa注水に伴って以下の変動が観測された。800m孔での歪み変化(3成分縮み、*)・湧水量増加(*)、注水孔近傍での自然電位変化(流動電位により説明可能、*)、アクロスによるS波走時の変化(1800m孔底と800m孔底間で0.4msec増加)。 (2)4MPa注水の開始6日後にボアホール周辺の極微小地震発生数に増加(2分間に約20個のクラスター的活動)が認められた。これらは波形の相似性が高く、震源分布は97年注水試験時の誘発地震と一部重なる。ただし、高速サンプリング・地震データからは、注水試験の開始以前にもボアホールのごく近傍にクラスター的活動の発生が確認され、注水誘発地震と通常の地震活動との特性の違いが調べられつつある。なお、3MPa注水の後には極微小地震活動に変化は認められなかった。 (3)1800m孔底震計、平林孔内地震計では、誘発地震と推定されるイベントの波形に、今のところ明らかな破砕帯トラップ波は見いだされていない。 (4)注水時の流量-圧力関係、あるいは注水停止後の圧力降下曲線を97年試験時と比較すると、透水率の増加が推定される。しかし、孔内温度計測によると、深さ540m付近で注入水が孔外に漏れている可能性があり、破砕帯部における透水率変化の推定には更に検討を要する。
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