2001 Fiscal Year Annual Research Report
準実スケールの人工雲を用いた地球温暖化・酸性化に関わる雲物理・化学複合過程の解明
Project/Area Number |
11304027
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
播磨屋 敏生 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90001859)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山形 定 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80220242)
高橋 庸哉 北海道教育大学, 教育学部, 助教授 (60236297)
村本 健一郎 金沢大学, 工学部, 教授 (70042835)
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Keywords | 人工雲 / 地球温暖化 / 酸性化 / 雲物理 / 雲化学 / 複合過程 / 雲科学実験施設 / 雲のモデル化 |
Research Abstract |
今年度の観測では,懸案であった立坑内の階段を使用可能にする改修工事を行った.その結果,従来坑頂口で測定していた上昇流速の値は,坑頂下10m高度での測定値と一致し,今までの値の代表性が確認された.また坑壁の温度は,大気温度と0.1℃以内で一致することもわかった. 雲粒粒径分布に影響を与える因子の効果を調べるために,坑底において硫酸アンモニウム,塩化ナトリウム,亜硫酸水素ナトリウムと塩化リチウムの濃度0.1g/L,10g/Lと200g/Lの溶液を噴霧した実験を行った. 今年度は,主に上昇流速の効果に注目して解析を行った.塩化ナトリウム200g/Lを噴霧し,上昇流速を1.0m/sから1.5m/sに上げると,坑底口でのエアロゾル粒径分布は,ほぼ両者に一致が見られたが,1.5m/sの方が大きい粒径で数が少々多かった.その結果として生成される雲粒は,上昇流速の速い方が総数で約1.5倍多かった.塩化ナトリウム10g/Lを噴霧し,上昇流速を1.0m/sから1.5m/sに上げると,坑底口でのエアロゾル粒径分布は,ほぼ両者に一致が見られるが,1.5m/sの法が大きい粒径での数が今度は少々少なかった.その結果として生成される雲粒は,上昇流速の速い方が総数で約1.3倍多かった.硫酸アンモニウム200g/Lを噴霧し,上昇流速を今度は0.8m/sから1.5m/sに上げると,坑底口でのエアロゾル粒径分布は,ほぼ両者に一致が見られた.その結果として生成される雲粒は,上昇流速の速い方が総数で約1.7倍多かった.以上の結果から,上昇流速が速くなるほど生成される雲粒数が多くなることがわかる.これは,上昇流によって上昇する空気塊が単位高度上昇することにより生ずる余分な水蒸気を,上昇流の速い方の空気塊中にある雲粒は単位高度間を上昇する時間が短いので消費できない.その結果,最大化飽和度が高くなり,より小さいエアロゾルまでものが活性化し,雲粒数が増加すると考えることによって一応説明できる.
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 播磨屋敏生: "エアロゾル数濃度の鉛直分布の航空機観測"北海道大学地球物理学研究報告. 第65号. 1-10 (2002)
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[Publications] 藤吉康志: "準実スケールの雲物理実験装置で検出した過飽和層"日本気象学会2001年春季大会講演予稿集. 79. 78 (2001)
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[Publications] 本間晶子: "エアロゾル数濃度と雲粒数濃度の関係の航空機観測(IV)"日本気象学会2001年春季大会講演予稿集. 79. 356 (2001)
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[Publications] 千葉ゆき子: "Kaバンドレーダを用いた雲水量鉛直プロファイルのリトリーバル"日本気象学会2001年秋季大会講演予稿集. 80. 40 (2001)
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[Publications] 岩波 越: "マルチパラメータレーダーによる梅雨期の雲・降水系の鉛直上向き観測"日本気象学会2001年秋季大会講演予稿集. 80. 387 (2001)
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[Publications] 佐々木 聰: "立坑を用いた雲物理実験装置内で発生した雲の微物理過程(その6)"日本気象学会2001年秋季大会講演予稿集. 80. 51 (2001)
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[Publications] 三浦 二郎: "北海道東部太平洋沿岸海域における海霧の化学組成"第42回大気環境学会年会講演要旨集. 499 (2001)