1999 Fiscal Year Annual Research Report
高周期14族元素を含む芳香族化合物の合成、構造および物性に関する系統的研究
Project/Area Number |
11304045
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
時任 宣博 九州大学, 有機化学基礎研究センター, 教授 (90197864)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 亘弘 九州大学, 有機化学基礎研究センター, 助手 (80304731)
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Keywords | 立体保護 / シラベンゼン / 芳香族化合物 |
Research Abstract |
高周期14族元素(Si,Ge,Sn,Pb)を含む芳香族化合物に関しては、安定な化合物として合成・単離された例は殆どなく、その基本的な構造・性質は未解明である。本研究では、独自に開発した非常にかさ高く有効な立体保護基である2,4,6-トリス[ビス(トリメチルシリル)メチル]フェニル基(以下Tbt基)を用いた速度論的安定化の手法により、含高周期14族元素芳香族化合物を安定に合成しその構造・物性を解明することでこれらの化合物の芳香族性の系統的な評価を行うことを目的とした。 本年度の研究においては、芳香族化合物の中で最も基本的な骨格であるベンゼンのケイ素類縁体であるシラベンゼンの合成・単離とその性質の解明について検討を行った。前駆体である、Tbt基をケイ素上に導入した1-クロロシラシクロヘキサ-2,4-ジエン1を合成し、その脱塩化水素反応について種々反応条件を検討したところ、ヘキサン中室温で塩基としてリチウムジイソプロピルアミドを用いた場合に目的のシラベンゼン2が室温で安定な化合物として定量的に得られることが判った。単離された2について、X線結晶構造解析、NMRスペクトル、紫外・可視吸収スペクトルおよびラマンスペクトルの測定を行い、2が高い芳香族性を有することを明らかにした。また、2とアルコールとの反応において、2が高い芳香族安定化を受けているにも関わらず、ケイ素-炭素二重結合が非常に反応活性であるために、シレン部分への1,2-付加反応,および1-シラブタジエン部分への1,4-付加反応が進行することが明らかとなった。
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[Publications] Norihiro Tokitoh: "New Aspects in the Chemistry of Multiple-bonds to heteroatoms"Pure&Appl.Chem.. 71. 495-502 (1999)
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[Publications] Norihiro Tokitoh: "Generation and Reactions of an Overowded Diaryldilithiosilane"Chem,Lett,. 1999. 931-932 (1999)
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[Publications] Norihiro Tokitoh: "The Chemistry of Germanium-containing Heavy Ketones"Bull,Chem,Soc,Jpn,. 72. 1665-1684 (1999)
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[Publications] Tsuyoshi Matsumoto: "The First Kinetically Stabilized Germanethiones and Germaneselones ; Syntheses,Structures,and Reactivities"J,Am,Chem,Soc,. 121. 8811-8824 (1999)
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[Publications] Keiji Wakita: "Synthesis of Stable 2-Silanaphthalenes and Their Aromaticity"J,Am,Chem.Soc,. 121. 11336-11344 (1999)
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[Publications] Keiji Wakita: "Synthesis and Properties of an Overcrowded Silabenzene at Ambient Temperature"Angew,Chem,Int,Ed,. 39. 634-636 (2000)