1999 Fiscal Year Annual Research Report
時計遺伝子クラスターkaiABCのサーカディアン発現の制御
Project/Area Number |
11304055
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
石浦 正寛 名古屋大学, 遺伝子実験施設, 教授 (20132730)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 孝男 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10124223)
伊藤 繁 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助教授 (40108634)
石野 良純 株式会社生体分子工学研究所, 主任研究員
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Keywords | 生物発光 / ルシフェラーゼ / 遺伝子発現 / リアルタイムモニタリング / シアノバクテリア / 始原菌 |
Research Abstract |
酵母のTwo-hybrid系を利用して、KaiCタンパク質と相互作用するタンパク質として、バクテリアの2成分系のsensory kainaseの一種であるSasAタンパク質を同定した。SasAはKaiBとアミノ酸配列で弱い類似性があり、これがKaiCとの結合能に関係している可能性がある。酵母Two-hybrid系で検討したところ、KaiBと類似性のあるN末側97残基のSasA断片はKaiCと結合するが、KaiBとは結合しなかった。試験管内タンパク質間結合能測定では、SasAはKaiCだけではなくて、SasA自体にも結合するが、KaiAやKaiBには結合しなかった。KaiCはdomain Iとdomain IIとよりなる重複構造をとっている。SasAはdomain IにもIIにも結合した。しかもN末側97残基のSasA断片でも同様の結合をした。sasA遺伝子を破壊すると、高光強度条件では、KaiA、KaiBC遺伝子の発現レベルは著しく減少し、リズムもほとんど分からなくなった。psbAI遺伝子の発現レベルも減少し、リズムの振幅も小さくなって急速に減衰した。いっぽう低光強度条件では、kaiA、kaiBC、psbAI遺伝子の発現リズムは振幅が小さくなり、周期も3時間ほど短くなった。とりわけkaiBC遺伝子の発現レベルは著しく減少した。psbAI遺伝子の発現レベルも減少し、リズムの振幅も小さくなって急速に減衰した。野生型ではkaiA、kaiBCmRNAのレベルは共にサーカディアンリズムを示すが、sasA破壊体では、はっきりしたリズムは認められなかった。KaiBとKaiCタンパク質のレベルはsasA破壊体では著しく低下し、KaiAレベルもいくぶん低下していた。一方、kaiABC遺伝子を破壊しても、sasAタンパク質レベルはほとんど影響されなかった。sasA遺伝子はkaiABC遺伝子に依存してサーカディアン発現する。sasA遺伝子を過剰発現すると、kaiA、kaiBC遺伝子の発現は著しく低下し、見掛け上リズムは消失した。sasAを一過性に過剰発現させたところ、時計の位相に対応して、位相の前進と後退を起こした。恒明条件下では、sasAの破壊は細胞の増殖に影響しなかったが、明暗サイクル条件下では、細胞の増殖が著しく阻害された。なお、この成果は論文にとりまとめて現在Cellに投稿中である。
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[Publications] Iwasaki,T.: "Physical interactions among circadian clock proteins KaiA,KaiB and KaiC in cyanobacteria."EMBO.J.. 18. 1137-1145 (1999)
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[Publications] Nishiwaki,T.: "Nucleotide binding and autophosphorylation of the clock protein KaiC as a circadian timing process of cyanobacteria"Proc.Natl.Acad.Sci.,U.S.A. 97. 495-499 (2000)