1999 Fiscal Year Annual Research Report
プローブ顕微鏡による機能蛋白質間相互作用の直接観察による視細胞情報変換機構の解析
Project/Area Number |
11304058
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
徳永 史生 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80025452)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久冨 修 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60231544)
|
Keywords | 網膜 / 視細胞 / 視物質 / 原子間力顕微鏡 / 光信号変換 / 視覚 / 細胞内情報伝達 / 1分子測定 |
Research Abstract |
視細胞では光信号を膜電位変化という電気信号に変換している(光電変換)。光を吸収した視物質が、トランスデューシン、ホスホジエステラーゼを活性化し、環状グアノシン一燐酸(cGMP)の加水分解を促進し、その濃度低下を引き起こす。視細胞形質膜にあるNa/K・ATPアーゼはNaイオンを細胞内から汲み出している。視細胞形質膜のcGMP依存NaチャンネルはcGMPの濃度低下により閉じ、Naイオンを細胞内への流入を止める。その結果、視細胞電位が下がる。グアニル酸シクラーゼ(GC)はGTPからcGMPを合成し、供給している。ロドプシンリン酸化酵素(RK)はメタロドプシンになったとき表面に露出するであろうC末端付近のセリン残基を燐酸化する。そのリン酸化されたメタロドプシンにアレスチン(48Kタンパク質)が結合して、Gタンパク質を活性化出来なくする。これによりメタロドプシンからの信号は停止される。視細胞は環境光によって順応するが、それには、Sモジュリン、グアニル酸シクラーゼ活性化タンパク質などが関係しており、光信号に対し最もよく電気信号が出るように制御している。本研究では、原子間力顕微鏡により、それらの分子の相互作用を直接観察し解析しようと試みるものである。本年度は初年度であり、研究は現在助走段階にあり以下のことを行った。(1)原子力間力顕微鏡を購入し、視物質アナログであるバクテリオロドプシンの観察を行い、観察技術の向上と性能評価を行った。(2)円板膜試料としてイモリの視細胞外節円板膜、およびザリガニの視細胞感桿分体の分離精製法を工夫した。(3)ロドプシン膜貫通ヘリックスとそのヘリックスを繋ぐループ部分で、細胞質側にある部分2カ所のアミノ酸配列をエピトープとする抗体と、ザリガニロドプシンのカルボキシル末端付近のアミノ酸配列をエピトープとする抗体を作製している。
|
Research Products
(8 results)
-
[Publications] Shinji Matsuda: "Role of carboxy-terminal charges on S-modulin membrane affinity and inhibition of rhodopsin phosphorylation"Biochemistry. 38(4). 1310-1315 (1999)
-
[Publications] Osamu Hisatomi: "Three kinds of guanylate cycylase expressed in medaka phototoreceptor cells in both retina and pineal organ"Biochem Biophys.Res.Commun.. 255. 216-220 (1999)
-
[Publications] Yuki Taniguchi: "Evolution of visual pigments in geckos"FEBS Lett.. 445. 36-49 (1999)
-
[Publications] Osamu Hisatomi: "Primary Structure of a visual pigment in bullfrog green rods"FEBS Lett.. 447. 44-48 (1999)
-
[Publications] Mikio Kataoka: "Low energy dynamics of globular proteins studied by inelastic neutron scattering"J.Phys.Chem.Solids. 60. 1285-1289 (1999)
-
[Publications] 谷口友紀: "光を受容するしくみの進化"遺伝. 53(6). 48-54 (1999)
-
[Publications] Masahiko Sato: "Recent Advances in Physiological Anthropology"Kyushu Universiry Press. 401 (1999)
-
[Publications] "Rhodopsins and phototransduction"Wiley. 306 (1999)