1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11305035
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
池田 駿介 東京工業大学, 工学部, 教授 (60016590)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸田 祐嗣 東京工業大学, 工学部, 助手 (60301173)
八木 宏 東京工業大学, 工学部, 助教授 (80201820)
石川 忠晴 東京工業大学, 総合理工学研究科, 教授 (50159696)
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Keywords | 瀬と淵 / 生物一次生産 / 付着藻類 / 礫床河川 / 水理構造 / 栄養塩 |
Research Abstract |
本年度は礫床河川付着藻類の一次生産活動に関する現地観測と室内実験を実施した。 春期から夏期にかけて、瀬と淵の付着藻類量に関する現地観測を実施した。観測では、河床礫を模擬したモルタル製の模擬石を瀬、淵それぞれに複数個設置し、それらを1週間間隔で回収し、模擬石に付着する藻類のクロロフィルa量を計測した。現地観測の結果、淵に比べて瀬の方が増殖初期の一次生産力が高いことが示された。また、増殖が十分に進行した状態の藻類現存量は、瀬より淵の方が多く、瀬において魚類や昆虫類による藻類の捕食が活発に行われている可能性が示唆された。 室内実験では流れの特性が藻類一次生産に与える影響に着目して以下の実験を実施した。水質や日射環境が等しく水理条件のみが異なる4本の開水路を作成し、それぞれの水路底面に付着する藻類のクロロフィルa量を計測した。また、水路下流端に設けたネットより藻類の剥離量を計測した。以上の実験は、平坦な水路床および半球状の突起を設置した水路で実施した。実験の結果、付着藻類の一次生産力は流速の大きな水路ほど高い傾向が見られた。このことは、流速が大きな水路ほど一次生産に必要となる基質の拡散が大きくなり、藻類層下部に生息する藻類の生産力が大きくなったことに起因している。増殖の初期段階では全ての水路において群態の藻類が優先的に生育したが、増殖の後期段階では流速の大きな水路では糸状の藻類の増殖がみられた。藻類の剥離量に関しては各水路間の差は小さく、藻類の剥離は流体のせん断力よりも藻類自身の生理的な特性に依存していることが明らかになった。底面に半球状の突起を設置した実験では、平坦床同様に、流速の大きな水路ほど高い生産力を有することが観察された。半球周りの藻類の分布に関して、藻類量は半球の上面、背面で大きくなっており、半球近傍の乱流構造と藻類の一次生産に関係があることが示された。
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[Publications] 池田 駿介: "2次元LESを用いた可撓性を有する植生層内外の乱流構造と穂波現象に関する研究"土木学会論文集. 621. 53-64 (1999)
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[Publications] 戸田 祐嗣: "礫床河川の物質循環シミュレーション"土木学会論文集. 635. 67-84 (1999)
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[Publications] 戸田 祐嗣: "洪水流による礫床河川高水敷土壌および植生の変化に関する現地観測"水工学論文集. (発表予定).
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[Publications] Syunsuke IKEDA: "Numerical Study on Turbulence Flow and Honami in and above Flexible Plant Canopy"Proc of 3nd Int. Symp on Turb. Heat and Mass Transfer. (発表予定).