1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11305048
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
花田 修治 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (10005960)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細田 秀樹 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (10251620)
吉見 享祐 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (80230803)
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Keywords | 水素吸蔵合金 / TiMn_2 / Laves相 / 繰返しサイクル / 水素化物 / 格子像 |
Research Abstract |
代表的な実用水素吸蔵合金の基本合金であるLaves合金TiMn_2を選んで、水素吸収-放出特性(PCT曲線)を測定し、繰り返しサイクルに伴うPCT画線形状の変化および残留水素量の分析を行った。室温で0.01-3.2MPaの水素圧範囲で吸収-放出を繰り返すと、繰り返し回数の増加とともに水素吸収量は次第に減少するが、残留水素量は逆に増加する。このとき、繰り返し回数n回目に吸収される水素量とn-1回のサイクル終了(放出)後に残留する水素量の和は一定であることが明らかになった。X線回折(ディフラクトメトリ)によると、繰り返し回数の増加とともにLaves相の回折ピークのブロードニングが起こり、ピーク位置は低角度側にシフトする。これは、繰り返しサイクルによるひずみの導入および侵入型に固溶した水素による格子の膨張を意味する。30回の繰り返しサイクルではLaves相の回折ピークの他に水素化物δ-TiHの回折ピークが確認されるようになる。透過電子顕微鏡観察によると、繰り返しサイクルが増加するとδ-TiHによる回折リングが電子回折図形に現れる。高分解能による格子像には繰り返しサイクルの初期から10nm程度のサイズのクラスターの分散が観察されるようになる。このクラスターの内部にはモアレパターンが観察されることから、Laves相の母相とδ-TiHの干渉により発生したモアレパターンであると解釈される。これらの結果から、生成した水素化物は水素圧を低下させても合金内に残存すること、水素吸収により導入された高ひずみ領域または水素化物界面に水素が捕捉され合金内に残存することが分かる。
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