2001 Fiscal Year Annual Research Report
高純度化に伴う先端鉄鋼材料の特性劣化と有効不純物元素による最適合金設計
Project/Area Number |
11305050
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
森永 正彦 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (50126950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯川 宏 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (50293676)
村田 純教 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (10144213)
田中 信夫 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (40126876)
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Keywords | 不純物効果 / 硫黄 / 耐熱鋼 / 水蒸気酸化 |
Research Abstract |
従来、材料中の不純物元素は極力下げた方がよいと考えられてきたが、諸特性のバランスが要求される多くの金属材料では、適量の微量元素は有害ではなくむしろ必要である。本研究は、金属材料の中の「微量元素の役割」を再評価し、微量元素の積極的利用によって、安価かつ高性能な材料を創成するための基礎研究である。 具体的には、超々臨界圧火力発電プラント用材料として重要な高クロム・フェライト系耐熱鋼を対象に絞り、微量元素、特にイオウ(S)による特性向上のメカニズムを明らかにし、耐熱鋼の設計の指針を得ることを目的としている。 本年度は以下の成果を得た。 (1)Sは、水蒸気酸化試験温度である650℃では、Pなどの他の不純物元素と同様に鋼の表面に速やかに偏析する。それに伴い、Sと結合性の強いCrも同様に鋼の表面に濃化する。その結果、Sを含む鋼では、含まない鋼に比べて酸化の初期から、Cr_2O_3の形成が速やかに行われる。 (2)Cr_2O_3形成後、Sは酸化物下層、あるいは酸化物/金属界面に存在し、Cr欠乏層の生成を抑え。 (3)Cr_2O_3単体の水蒸気酸化試験を行った結果、酸化物重量が減少するが、不純物Sを添加したCr_2O_3ではその重量減少が抑制された。 以上の結果から、鋼にSが存在する場合、Cr_2O_3の生成を助長し、かつCr_2O_3の揮発を抑制する効果のあることが明らかとなった。この効果は50〜100ppmで顕著に現れることから、強度等への影響を考えるとS量を50〜100ppmとすることが合金設計上、最適であると結論される。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] M.Morinaga, Y.Murata, R.Hashizume, Y.Sawaragi: "Remarkable Improvement in Steam Oxidation Resistance Due to The Presence of Sulfur in High Cr Ferritic Steels"ISIJ International. 41(3). 314-316 (2001)
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[Publications] Y.Murata, M.Morinaga, R.Hasizume, Y.Sawaragi, M.Nakai: "Role of an Impurity Element in Steam Oxidation Resistance of High Cr Ferritic Steels"Advances in Materials Technology for Fossile Power Plants. 367-374 (2001)
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[Publications] 村田純教, 鷹見恭平, 神谷美沙紀, 森永正彦, 三木一宏, 他: "高W含有10Crフェライト系耐熱鋼における微細整合析出Laves相"鉄と鋼. 88(4). 214-221 (2002)