2001 Fiscal Year Annual Research Report
ガラス,スラグ中の微細異相析出の形態制御に関する研究
Project/Area Number |
11305055
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
森永 健次 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 教授 (70038074)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 貴広 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 助手 (70304839)
藤野 茂 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 助手 (10304833)
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Keywords | ガラス / スラグ / 組成パラメータ / 比熱 / デバイ温度 / 一次元デバイス関数 |
Research Abstract |
ガラスは,組成任意性を特徴に持っているため,組成により物性値を連続的に変化させることができる.しかしその反面,組成の組み合わせが多様であるため,所望の物性をもつガラスを開発することは困難である.そのため新しいガラス材料の開発を行なう際には,組成と物性の関係について系統的な研究を行い,材料設計指針となる組成パラメータを確立することが必要不可欠になる.そこで本年度では、ガラスおよびスラグから熱処理によって微細異相結晶相を析出させるために必要となる比熱について組成との関係を系統的に調査し,その組成パラメータの確立と支配因子の検討を行なった. 比熱測定用ガラスとして,ケイ酸塩,ホウ酸塩,およびリン酸塩系ガラスを選択した.各ガラスの比熱測定にはACカロリメトリー(真空理工(株)製)を用い,室温から840Kの温度範囲で測定を行なった. 各酸化物系ガラスの比熱を測定することで,系統的にガラス比熱のデータ集積を行なった.これら実測した酸化物系ガラスの比熱と組成の関係について,固体比熱の理論で用いられているデバイ温度を用いて考察した.その結果,実測した比熱をデバイ温度における比熱,温度をデバイ温度でそれぞれ規格化することで,組成に依らず1つの比熱温度曲線で表すことができること明らかにし,この関係式から酸化物系ガラスの比熱を組成より推定することに成功した.さらに,室温以上の温度域におけるガラス比熱の支配因子について考察を加えるため,低温域の比熱について提案されているガラス比熱の理論を用いて解析を行なった.その結果,室温以上の温度域において,1次元デバイ関数で表される網目形成酸化物の原子間結合力が,ガラス比熱を支配していることを見出した.
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[Publications] Kenji Morinaga et al.: "Preparation and properties of SnO-SnCl_2-P_2O_5glsses"Journal of Non-Crystalline Solids. 282. 118-124 (2001)
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[Publications] 森永 建次: "Mnイオン含有ゲルマン酸塩系赤色蓄光蛍光体の調製とその残光特性"第288回蛍光体同学会. 19-26 (2001)
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[Publications] 稲葉 誠二: "酸化物ガラスの熱拡散率,比熱および熱伝導率の推定式"日本金属学会誌. 65. 680-687 (2001)
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[Publications] 森永 建次: "材料プロセッシングの歴史と課題"金属. 71. 1233-1240 (2001)
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[Publications] S.Fujino et al.: "Preparation of nano sized α-alumina powders by thermal decomposition of ammonium alumium carbonate hydroxide(AACH)"18^<th> International Japan-Korea Seminar on Ceramics. 305-309 (2001)
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[Publications] Kim Duk Num et al.: "Development of new Long Lasting Phosphorescent Materials"18^<th> International Japan-Korea Seminar on Ceramics. 573-577 (2001)
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[Publications] S.Fujino et al.: "Properties of low melting SnO-SnCl_2-P_2O_5 glasses"International symposium on radiation safety management. 101-107 (2001)
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[Publications] H.Takebe et al.: "Compositional variation in the structure of Ge-S glasses"Journal of Non-Crystalline Solids. 291. 14-24 (2001)
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[Publications] 武部 博倫: "希土類イオンドープカルコゲナイドガラスの組成とその光学特性"セラミックス. 36. 84-87 (2001)
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[Publications] 稲葉 誠二: "Heat Capacity of oxide glass measured by AC calorimetry"Journal of Non-Crystalline Solids. (in press). (2002)
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[Publications] T.Murata et al.: "Matrix effect on local structure surrounding Yb^<3+> and spontaneous emission probability in oxide glasses"Science and Technology of Advanced Materials. (in press). (2002)
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[Publications] 森永 健次: "希土類イオンドープガラスの光機能"応用光学. 2. 11-17 (2002)