1999 Fiscal Year Annual Research Report
R^+/Cu^+およびR^+/Ag^+イオン交換によるガラスの新機能の創出
Project/Area Number |
11305062
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山根 正之 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (40016382)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢野 哲司 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (90221647)
柴田 修一 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (00235574)
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Keywords | イオン交換 / アルミノシリケートガラス / 銅イオン / 銀イオン |
Research Abstract |
酸化物ガラスに含まれるアルカリイオンの一部を他のアルカリイオンで置きかえることにより種々の機能を付与させることを目的として、アルカリアルミノ珪酸塩ガラスについて、R^+/Na^+(R^+=Ag^+またはCu^+)のイオン交換を行い、ガラス組成、特にR^+の種類及び量と、R^+:Al^<3+>比、イオン交換条件等と構造・物性変化の関係の調査、高電気伝導ガラス作製の最適条件の探索など、ガラス中のイオンの移動現象に基づく新機能材料開発に関する基礎研究を行った。 その結果、20Na_2O-10Al_2O_3-70SiO_2(mol%)ガラス中のNa^+をCu^+と交換すると、ガラス転移点が大幅に低下するのみでなく、通常の傾向とは逆にガラスの熱膨張係数も減少し、電気伝導度は著しく増大することがわかった。^<29>SiMAS-NMRスペクトル測定および^<27>Al MAS-NMRスペクトル測定から、イオン交換に伴うこれらの物性変化は、電気陰性度の大きなCu^+の導入によって誘起されるガラスの網目構造変化と密接に関係しており、ガラス中の非架橋酸素が減少して網目を形成する為Si原子はQ^3ユニットからQ^4ユニットに変化し、またAl^<3+>イオンの配位数が4から6に変化することにより生じるものであると推定された。 一方、Cu^+/Na^+に代えてAg^+/Na^+のイオン交換を行った場合にはガラスの網目構造の著しい変化は生じず、電気伝導度と伝導の活性化エネルギーに夫々最小および最大が現れる、いわゆる混合カチオン効果が認められた。 これらの結果から、イオン交換によって得られるガラスは通常の溶融法によって得られる同一組成のガラスとは物性、構造とも明らかにことなり、更に詳細な検討を続けることで、新しい機能材料の創製が期待されると結論された。
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