2001 Fiscal Year Annual Research Report
| Project/Area Number |
11305066
|
|---|
| Research Institution | University of Tsukuba |
|---|
Principal Investigator |
國府田 悦男 筑波大学, 応用生物化学系, 教授 (40124648)
|
|---|
| Keywords | 高分子電解質ゲル / 体積相転移 / Flory-Huggins理論 / 分子間相互作用 / クーロン斥力 / クーロン引力 / 疎水性相互作用 / 水素結合 |
|---|
| Research Abstract |
本研究は、"ゲルの体積相転移が架橋高分子鎖間に働く斥力と引力のバランスの変化によって起こる"と言う仮説を、科学的に根拠あるものにすることを目的とする。そこで、本年度は、架橋高分子鎖間に働く分子間相互作用が異なる高分子電解質ゲル系を用て、以下の四つの異なった課題を体系的に検討した。その成果の概要は以下のとおりである。
(1)クーロン力と疎水性相互作用のバランスに関して研究し、固定化酵素反応によって生じる高分子電解質ゲルのpH勾配が、ゲルの膨潤度に顕著な影響を与えることを明らかにした。
(2)異符号電荷間のクーロン引力のバランスに関する基礎研究を発展させ、酵素反応によって両生高分子電解質ゲルの膨潤が制御できる系(バイオケモメカニカルシステム)を開発した。
(3)粒子直径が200nm程度のミクロゲルに酵素分子を包括固定化する方法を確立し、このゲル微粒子をフイルター膜の細孔内に充填することから、酵素反応を利用して液体透過制御ができることを実証した(バイオケモメカニカルバルブの構築)。
(4)クーロン力と水素結合のバランスに関する研究として、アルキルアクリルアミド系のゲル微粒子内にポリアクリル酸を包括固定化した系について実験し、超希薄分散系でよる粒子内相互作用(体積相転移)と通常の濃度範囲で起こる粒子間相互作用の間に、良い相関があることを見いだした。
なお、以上の成果は、『バルクゲル系からミクロゲル系へと実験系を移動可能』であることを示しており、動的・静的光散乱法、電位差・伝導度滴定法、コロイド滴定法などを有機的に組み合わせることにより、架橋高分子電解質網目間に働く相互作用(斥力と引力のバランス)を分子論的に解明できることを示唆している。併せて、コンピューターシミュレーションを用いて、ミクロゲル微粒子の構造に付いても予測可能であることが明らかになりつつある。
|
-
[Publications] Y.Ogawa, K.Ogawa, B.Wang, E.Kokufuta: "A Biochemo-Mechanical System Consisting of Polyampholyte Gels with Coimmobilized Glucose Oxidase and Urease"Langmuir. 17・9. 2670-2674 (2001)
-
[Publications] K.Ogawa, B.Wang, E.Kokufuta: "Enzyme Regulated Microgel Collapse for Controlled Membrane Permeability"Langmuir. 17・16. 4704-4707 (2001)
-
[Publications] K.S.Schmitz, B.Wang, E.Kokufuta: "Mechanism of Microgel Formation via Crosslinking of Polymers in Their Dilute Solutions: Mathematical Explanation with Computer Simulations"Macromolecules. 34・23. 8370-8377 (2001)
-
[Publications] K.Yabusaki, E.Kokufuta: "Aggregation Mechanism of Blood Platelets by Time-Resolved Light Scattering Method"Langmuir. 18・1. 39-45 (2002)
-
[Publications] K.Ogawa, E.Kokufuta: "Enzymatic Formation of pH Gradients within Polyelectrolyte Gels with Immobilized Urease"Langmuir. 18(印刷中). (2002)
-
[Publications] K.Ogawa, Y.Ogawa, E.Kokufuta: "K.Ogawa, Y.Ogawa, E.Kokufuta:Effect of Charge Inhomogeneity of Polyelectrolyte Gels on Their Swelling Behavior"Colloid. & Surf., A. 150(印刷中). (2002)
-
[Publications] E.Kokufuta: "Physical Chemistry of Polyelectrolytes"Marcel Dekker,Inc. 882 (2001)
