2001 Fiscal Year Annual Research Report
「環境ホルモン」の野生動物に対する影響とその作用機序の解明
Project/Area Number |
11306021
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤田 正一 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (10143314)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星 英之 大阪府立大学, 農学部, 助手 (30301188)
石塚 真由美 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助手 (50332474)
数坂 昭夫 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (00002113)
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Keywords | 環境ホルモン / 環境汚染 / エストロゲン / ダイオキシン受容体 / ベンゾピレン / ビスフェノールA / CYP1A1 / シトクロムP450 |
Research Abstract |
今年度は、実験動物や培養細胞を用いて、エストロゲンと「環境ホルモン」との相互作用について調べた。また、「環境ホルモン」新生仔期への曝露が、成長過程、特に脳神経系発達に与える影響及びそのメカニズムを明らかにした。 エストロゲン類がダイオキシン受容体(AhR)機能に及ぼす影響 エストロゲン受容体とダイオキシン受容体(AhR)との相互作用を調べた。乳癌由来MCF-7細胞では、エストロゲンの共存が、ベンゾピレン(AhRリガンド)によるCYP1A1mRNA発現誘導を抑制した。しかし、CYP1B1の発現誘導には影響が見られず、エストロゲンによる抑制レベルの差は、NF-1結合サイトなどプロモーター領域の違いによることが分かった。EGFやIGF-1はエストロゲンによって活性化される成長因子であり、CYP1ファミリーの発現誘導レベルを抑制することが報告されている。しかし、MCF-7細胞では、これら成長因子の共存によって、CYP1A1mRNAの発現レベルに有意な変動はなく、異なる抑制メカニズムによってエストロゲンがAhR機能を阻害していることが分かった。 ビスフェノールA(BPA)の脳神経系への影響 エストロゲン受容体と弱親和性を示すBPAを低濃度で胎生仔期・新生仔期ラットに曝露した。BPA経口投与によって、生後1週齢仔ラットの小脳重量が、オスでのみ有意に減少した。また、小脳初代培養細胞では、BPA曝露によって細胞増殖が抑制された。生後1週齢のオス仔ラット小脳において発現レベルが変動するmRNAをマイクロアレイで解析し、ドパミン受容体を含む27遺伝子を同定した。一方、BPA飲水投与による実験では、新生オスラットは自発運動量が増加することが分かった。しかし、メスは自発運動量に変化が無かった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Chiba I, et al.: "Hepatic microsomal cytochrome P450s and chlorinated hydrocarbons in largha and ribbon seals from Hokkaido, Japan : Differential response of seal species to Ah receptor agonist exposure"Environmental Toxicology and Chemistry. 印刷中.
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[Publications] Sakamoto QK, et al.: "Accumulation patterns of polychlorinated biphenyl congeners and organochlorine pesticides in Stellers Sea eagles and White-tailed sea eagles, threatened species, in Hokkaido, Japan"Environmental Toxicology and Chemistry. 印刷中.
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[Publications] Maruyama Y, et al.: "Uptake of the dopaminergic neurotoxin, norsalsolonol, into PC12 cells via dopamine transpoter"Archives of toxicology. 75. 209-213 (2001)
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[Publications] Fujita S, et al.: "P450 in wild animals as biomarker of environmental impact"Biomarkers. 6. 13-25 (2001)
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[Publications] Maruyama Y, et al.: "Norsalsolinol uptake into secretory vesicles via vesicular monoamine transporter and its secretion by membrane depolarization or purinoceptor stimulation in PC12 cells"J Vet Med Sci. 63. 493-497 (2001)
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[Publications] Chiba I, et al.: "Negative correlation between plasma thyroid hormone levels and chlorinated hydrocarbon levels accumulated in seal from the coast of Hokkaido, Japan"Environmental Toxicology and Chemistry. 20. 1092-1097 (2001)