2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11307026
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
石井 清一 札幌医科大学, 医学部, 教授 (20001000)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 卓郎 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (00244369)
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Keywords | 骨肉腫(osteosarcoma) / 血管新生誘導因子(VEGF) / 肺転移(lung metastasis) / 予後(prognosis) / 接着分子(B7-1) / アデノウィルスベクター(adenovirus vector) / ヒト骨肉腫細胞株 / CTL |
Research Abstract |
1.我々は先に、骨肉腫原発巣における血管新生誘導因子(VEGF)の産生と肺転移の発現には密接な関係があることを明らかにした。今回は16例の骨肉腫患者のVEGFの血中濃度と、肺転移との関係を検討した。VEGF高濃度群8例の原発腫瘍内の新生血管数は、低濃度群8例に比べて明らかに多く、2年間の経過観察中に7例に肺転移が発生した。その間、低濃度群に肺転移の発現はなかった。初診時の血中VEGF濃度によって、早期肺転移の発現を予測することが可能であった。 2.接着分子B-7は、Tリンパ球の活性化に必要な補助信号を伝達する。アデノウィルスベクターに組み込んだB7-1遺伝子を直接腫瘍に接種する治療実験を行い、抗腫瘍免疫効果を検討した。ラット骨肉腫細胞株MSK-8Gを同系ラットの皮下に接種した。腫瘍が一定の大きさに増殖する3週後に、B7-1を組み込んだウィルスベクターを腫瘍内に直接接種すると、腫瘍の増殖は明かに抑制された。腫瘍を拒絶したラットに再度MSK-8G肉腫を接種したが、腫瘍の増殖は抑制されることを確認した。このことは、B7-1遺伝子のin vivo transfectionによって、ラット骨肉腫特異的抗腫瘍免疫が誘導されることを示唆していた。 3.ヒト骨肉腫の免疫療法を可能にするために、骨肉腫腫瘍抗原の同定を試みた。16歳女性の大腿骨発生骨肉腫から、骨肉腫細胞株の樹立に成功した。同患者の末梢血から分離したT細胞を、放射線照射で増殖を抑制した骨肉腫細胞株と混合培養することにより、自家骨肉腫細胞株を障害するCTLの誘導に成功した。このことは、骨肉腫患者の末梢血中に、腫瘍細胞を認識するCTL前駆細胞が存在していることを示唆していた。この細胞株とCTLの解析を進めることにより、CTLが認識している骨肉腫拒絶抗原を直接同定でき、養子免疫療法、ワクチン療法を可能にすると思われた。
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Research Products
(16 results)
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[Publications] Takahashi,M.: "In vitro chemosensitivity assay for soft tissue sarcoma using tumor xenografts."Tumor Res.. 34. 15-27 (2000)
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[Publications] Wada,T.: "Resection arthrodesis of the knee with vascularized fibular graft : medium to long term results."J.Bone Joint Surg. 82-B. 489-493 (2000)
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[Publications] Yamamoto,O.: "Prognostic value of the P-glycoprotein expression in bone and soft tissue sarcoma."Int.J.Clin.Oncol.. 5. 164-170 (2000)
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[Publications] Wada,T.: "Myxofibrosarcoma with an infiltrative growth pattern : a case report."Jpn.J.Clin.Oncol.. 30. 458-462 (2000)
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[Publications] Kaya,M.: "Vascular endothelial growth factor expression in untreated osteosarcoma is predictive of pulmonary metastasis."Clin.Cancer Res.. 6. 572-577 (2000)
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[Publications] Nabeta,Y.: "Identification strategy and cataloguing of antigen cancer epitopes."Mod.Asp.Immunobiol.. 1. 17-19 (2000)
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[Publications] Nagoya,S.: "Reconstruction and limb salvage using a free vascularized fibular graft for periacetabular malignant bone tumors."J.Bone Joint Surg.. 82-B. 1121-1124 (2000)
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[Publications] 鍋田裕樹: "SEREX法による骨肉腫腫瘍抗原の同定"日本整形外科学会雑誌. 74(6). 1247 (2000)
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[Publications] 赤塚智博: "骨肉腫におけるErbB receptorの発現"日本整形外科学会雑誌. 74(6). 1249 (2000)
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[Publications] 川口哲: "B7-1遺伝子導入による骨肉腫の免疫療法"日本整形外科学会雑誌. 74(2). 680 (2000)
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[Publications] 鍋田裕樹: "ヒト骨肉腫細胞株と自家腫瘍障害性T細胞の樹立"日本整形外科学会雑誌. 74(8). 1417 (2000)
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[Publications] 和田卓郎: "骨・軟部悪性腫瘍の患肢温存術-血管柄付き腓骨移植の適応"日本整形外科学会雑誌. 74(6). 1012 (2000)
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[Publications] 加谷光規: "血管内皮増殖因子VEGFは骨肉腫肺転移の予測因子である"日本整形外科学会雑誌. 76(6). 1071 (2000)
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[Publications] 名越智: "臼蓋部悪性骨腫瘍切除後の血管柄付き腓骨移植術を用いた骨盤・臼蓋再建術"日本整形外科学会雑誌. 74(6). 1187 (2000)
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[Publications] 和田卓郎: "新OS NOW広範囲骨欠損に対する再建法"メジカルビュー社. 6 (2000)
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[Publications] 和田卓郎: "骨軟部腫瘍に対する遺伝子治療"先端医療技術研究所. 5 (2000)