1999 Fiscal Year Annual Research Report
前立腺癌における転移抑制遺伝子の同定と癌進展の解析
Project/Area Number |
11307029
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
市川 智彦 千葉大学, 医学部・附属病院, 講師 (20241953)
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Keywords | 前立腺癌 / 転移 / 転移抑制遺伝子 / 遺伝子クローニング |
Research Abstract |
前立腺癌の進行に関連した抑制遺伝子を臨床検体からクローニングすることは、その手術症例数が比較的少ないことや癌組織の採取が難しいこと、また癌組織における癌細胞やその組織構築の多様性などにより非常に困難である。我々は肺に高率に転移するラット前立腺癌細胞にヒト染色体を1本導入し、その肺転移能などの性状の変化を指標としながら転移抑制遺伝子をクローニングする方法を開発した。我々はこの方法を用いて、11p11.2からKAI1/CD82遺伝子をクローニングし、この発現がヒト前立腺癌の進行と逆相関していることを示した。 この方法を用いて8p21-p12にも転移抑制遺伝子が存在することを示したが、本研究では100万塩基対程度まで転移抑制遺伝子の存在する領域を限局し、その領域をカバーするバクテリア人工染色体を同定した。塩基配列を解析したところ、最低3個の未知の遺伝子が存在することがわかった。現在それぞれの遺伝子についてその全長を含むcDNAを単離しているところであり、今後ラット前立腺癌の転移を抑制するか否かをみた後、臨床検体についても解析する予定である。 7番染色体にも転移抑制遺伝子が存在することを示したが、臨床検体における7番染色体のLOHの頻度は、再燃癌であっても15〜20%程度であった。13番では13q14に80%以上の頻度でLOHが認められ、これは転移抑制遺伝子の存在が予想される領域と一致していた。17番染色体についても、その短腕に存在する既知のMKK4遺伝子が転移抑制遺伝子の候補として報告されたため、臨床検体の解析をおこなったところ、約30%の癌死症例においてLOHを認めた。 またこのラット前立腺癌はマトリックスメタロプロテイナーゼを産生しているが、ヒト染色体の導入により転移が抑制されても、その産生能の変化は一律ではなく、転移抑制の機序の多様性が明らかとなった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Nihei, N., et al.: "Metastasis suppressor gene(s) for rat prostate cancer on the long arm of human chromosome 7"Genes Chromosomes Cancer. 24(1). 1-8 (1999)
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[Publications] Ueda, T., et al.: "Identification of a 1-cM region of common deletion on 13q14 associated with metastasis of human prostate cancer"Genes Chromosomes Cancer. 24(2). 183-190 (1999)
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[Publications] Furuya, Y., et al.: "Radiotherapy for local progression in patients with hormone-refractroy prostate cancer"Int. J. Urol.. 6(4). 187-191 (1999)
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[Publications] Furuya, Y., et al.: "Progression of patients with T4 prostate carcinoma"Int. J. Urol.. 6(4). 192-195 (1999)
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[Publications] Furuya, Y., et al.: "Effect of prostatic biosy on free-to-total prostate-specific antigen ratio in patients with prostate cancer"Int. J. Urol.. 7(2). 49-53 (2000)
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[Publications] 市川 智彦: "前立腺癌における転移抑制遺伝子の同定."泌尿器外科. 12(臨増). 363-364 (1999)