2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11307031
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武谷 雄二 東京大学, 医学部・附属病院, 教授 (10114539)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
百枝 幹雄 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (50221627)
藤井 知行 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (40209010)
堤 治 東京大学, 医学部・附属病院, 教授 (60134574)
大須賀 穣 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (80260496)
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Keywords | 子宮内膜 / リンパ球 / サイトカイン / HLA-G抗原 / 卵巣 / アンギオゲニン / 着床 |
Research Abstract |
まず、胎盤絨毛上の膜結合型HLA-G抗原に対し、末梢血液中のリンパ球と、妊娠局所である脱落膜中のリンパ球がどのように反応するのか検討した。近年、リンパ球が出すサイトカンが、細胞性免疫を賦活化するTh1サイトカンと液性免疫を賦活化するTh2サイトカンとに分類できることがわかっているが、妊娠は胎児寛容の免疫学的機序としてTh2優位の現象である。今回の研究で、末梢血中のリンパ球はHLA-Gを認識するとTh1サイトカインの分泌を減少させ、Th2サイトカインの分泌を増加させること、一方、脱落膜中のリンパ球はTh1サイトカインの分泌を減少させるものの、Th2サイトカインの分泌は変化させないことが明らかとなった。両リンパ球のサイトカイン分泌の反応性の違いは、遮断抗体等の妊娠を維持させる働きがある抗体は末梢血液中のB細胞から分泌され、脱落膜中にはB細胞がほとんど存在しないことによると推察された。 さらに、重要な血管新生物質であるangiogeninのヒト卵巣における発現ならびにその制御機構につき検討した。体外受精・胚移植施行患者より採取した卵胞液と顆粒膜細胞中のangiogeninの存在を同定し、顆粒膜細胞の培養系にhCG(150ng/ml),cAMP(1mM),低酸素刺激(0.2%O_2)を加え、24時間後の培養上清中のangiogenin濃度および細胞中のmRNAレベルを定量した。145個の卵胞液中のangiogenin濃度を測定し、プロゲステロン、エストラジオール、テストステロン濃度との相関につき検討した。その結果、ウエスタンブロッティング法にて卵胞液および顆粒膜細胞中のangiogeninの存在が14.3kDのバンドとして検出され、培養顆粒膜細胞からのangiogeninの分泌は、hCGで3倍,cAMPで3倍,低酸素刺激で5.5倍と有意に促進された。低酸素刺激で12.5倍のmRNAレベルの上昇も認められた。卵胞液中のangiogenin濃度はプロゲステロン濃度と有意に正の相関を示したが、エストラジオール、テストステロン濃度とは相関を示さなかった。以上より、angiogeninは卵巣において局所の血管新生因子としての生理的意義を有することが推測された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Koga.K,Csuga.Y,Tsatsumi.O,Momoeda.M et al: "Evidence for the presence of angiogenin in human follicular fluid and the up-regulation of its production by human chorionic gonadotropin and hypoxia"Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism. 85・9. 3352-3355 (2000)
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[Publications] Matsumi,H.Yano,T,Osuga,Y.Kugu.K et al: "Regulation of nitric oxide synthase to promote cytostasis in ovarian follicular development"Biology of Reproduction. 63・1. 141-146 (2000)
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[Publications] Miki,A.,Fujii,T.,Lishikawa Y,Hamai.Y et al: "Immunotherapy prevents recurrent abortion without influencing natural killer receptor status"American Journal of Reproductive Immunology. 43・2. 98-106 (2000)
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[Publications] Takai.Y,Tsutsumi.O,Ikezuki.T,Hiroi.H et al: "Estrogen Receptor-mediated Effects of a xenoestrogen, bisphenol A, on preimplantation mouse embryos"Biochemical & Biophysical Research Communication. 270・3. 918-921 (2000)
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[Publications] Hiroi.H,Momoeda.M,Yamauchi.N, et al: "An earlier menopause as clinical manifestation of granulosa-cell tumor : a case report."Journal of Obstetrics & Gynaecology Research. 26・1. 9-12 (2000)
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[Publications] Hiroi.H,Tsatsumi.O,Momoeda.M, et al: "Differential interactions of bisphenol A and 17beta-estradiol with estrogen receptor alpha (ERalpha) and ER beta"Endocrine Journal. 46・6. 773-778 (1999)