1999 Fiscal Year Annual Research Report
外有毛細胞のmotilityに果たすモニター蛋白質の機能解明
Project/Area Number |
11307033
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
和田 仁 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30111264)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 路子 東北大学, 大学院・工学研究科, 日本学術振興会特別研究員(DC)
池田 勝久 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70159614)
高坂 知節 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80004646)
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Keywords | 外有毛細胞 / モーター蛋白質 / 可動性 / 原子間力顕微鏡 |
Research Abstract |
ヒトの聴覚は鋭敏な判別機能を有する。この機能は聴覚の感覚細胞である外有毛細胞(Outer Hair Cell:OHC)のmotility、すなわち可動性に基づく、内耳蝸牛の増幅機構により達成されていると考えられている。そして、このmotilityは、OHCの細胞膜近辺に存在するモーター蛋白質の伸縮により生じていると推察されているが、その存在は未だ確認されておらず、当然その機能も不明である。そこで、超高速ビデオカメラシステムを用い、生理条件下でパッチクランプ法を施し、負荷刺激に対するOHC各部の伸縮挙動を詳細に計測した。また、モーター蛋白質の働きを組み込んだ、シェル理論からなるOHCの運動方程式を導出し、モータ蛋白質の機能の推定を行った。その結果、以下の知見を得た。 1 5Hz、105.3Hzの正弦波電圧刺激に対するOHCの伸縮運動の解析より、細胞の両端から20%の範囲ではモーター蛋白質によるとみられる変形はなく、それを除く細胞のbasal endから20〜80%の範囲では一様に変形することが明らかとなった。これよりモーター蛋白質は、OHCの両端から20%の範囲には存在せず、それを除く範囲には一様に分布すると推察された。 2 数値解析の結果、モーター蛋白質が細胞側壁の中央部に集中して存在するほど、細胞が発生する力は大きいと推察された。 今後、購入した原子間力顕微鏡の調整を行い、OHCの表面形態観察・機械特性の計測を行う。そして、これまでに得られた知見と比較することにより、モーター蛋白質がOHC motility、すなわち可動性に果たす機能を解明する。
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