2000 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病原性菌の鉄獲得機構とその病原性に関する分子生物学的解析
Project/Area Number |
11307050
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
雫石 聰 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (00028789)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片岡 宏介 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (50283792)
小島 美樹 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (20263303)
永田 英樹 大阪大学, 歯学部・附属病院, 講師 (50260641)
久保庭 雅恵 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (00303983)
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Keywords | 歯周病原性菌 / Porphyromonas gingivalis / Actinobacillus actinomycetemcomitans / Prevotella / 鉄源 / ヘモグロビン / ビルレンス因子 / 制御因子 |
Research Abstract |
鉄は多くの細菌が生存・増殖するために必要な栄養素であり、歯周病原性菌も歯肉溝浸出液中に存在する鉄結合性タンパク質を鉄源として利用していると考えられている。我々は、これまでに、有力な歯周病原性菌であるPorphyromonas gingivalisはトランスフェリンやヘミンよりもヘモグロビンをより有効な鉄源として利用することやP.gingivalisの51kDaの分子量をもつチオール依存性タンパク質分解酵素(KGP)がヘモグロビンとの結合に関与していることを報告した。本年度の研究では、KGPのヘモグロビン結合部位をさらに限定するとともに、ヘモグロビンレセプターの発現調節機構を解明することを目的とした。さらに、他の歯周病原性菌のヘモグロビン利用能・結合能を調べることにより、種々の歯周病原性菌の鉄獲得機構の相同性および相違性を検討し、鉄獲得調節機構が種々のビルレンス因子に及ぼす影響についても検討することを目的とした。KGPの塩基配列を基に種々のリコンビナントタンパク質を作製し、そのヘモグロビン結合能をドットブロット法により調べた結果、KGPのN末端領域に強いヘモグロビン結合活性が認められた。現在、さらに活性部位を限定するために研究をすすめている。また、鉄源を制限した培地中に種々の濃度のヘモグロビンを添加してActinobacillus actinomycetemcomitans,Prevotella intermediaおよびPrevotella nigrescensの増殖を調べた結果、これらの菌はヘモグロビンを有効な鉄源として利用できることが示された。また、SDS-PAGEやWestwestern法により、これらの菌は1)ヘモグロビン分解能を有すること、2)ヘモグロビンとの結合に関与する外膜タンパク質が存在することが示された。現在、ヘモグロビン結合タンパク質の精製およびその遺伝子のクローニングを行っている。さらに、歯周病原性菌のfur様遺伝子の解析など鉄獲得調節機構についても検討中である。
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