2000 Fiscal Year Annual Research Report
ピコ秒熱反射法とイオン照射を用いる固体の熱伝導に対する照射効果の研究
Project/Area Number |
11308018
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
長崎 正雅 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (40273289)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
重松 宏武 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (40281068)
有田 裕二 名古屋大学, 工学部, 助教授 (50262879)
松井 恒雄 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (90135319)
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Keywords | 熱反射法 / サーモリフレクタンス法 / 熱伝導 / 熱拡散率 / 照射効果 / 格子欠陥 / パルスレーザー |
Research Abstract |
ピコ秒熱反射法による熱拡散率測定では,試料表面をピコ秒程度のパルス光(加熱光)で加熱し,試料内部への熱の拡散に伴う試料表面の温度低下を,遅延パルス光(測温光)の反射強度の変化として検出する.測定装置は,パルスレーザー本体,加熱光・測温光照射光学系,測温光反射強度測定系,データ収録・処理部に大別される.このうちレーザー本体および光学系の整備あるいは製作は昨年度中に終了した.今年度は残りの部分を製作し,測定装置として一応の完成を見た. 引き続き,装置の特性および性能を把握する目的で,種々の試料-アルミニウム板,アルミニウム蒸着膜,ステンレス鋼(板),ニッケル板,熱分解黒鉛(結晶)等-について熱拡散率の測定を試みた.アルミニウム板の光沢面に対しては再現性のある信号(測温光反射強度の変化)が得られたものの,アルミニウム蒸着膜,ステンレス鋼(板)に対する信号は再現性に乏しかった.また,ニッケル板,熱分解黒鉛に対しては有意な信号が検出できなかった.これらの違いは,試料の組成よりもむしろ試料の表面状態,特に幾何学的な粗さに起因するものと思われる.そこで,試料表面を化学研磨あるいは電解研磨する準備を進めた.また,装置の時間分解能については,従来のものよりもよいことがわかった.これは,従来の装置ではレーザーパルス幅が数ピコ秒程度であるのに対し,本装置では0.1ピコ秒と短いことが効いているものと思われる. さらに,プログラムSRIMを用いてはじき出し原子の分布を計算し,イオン照射の条件について検討した.
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