1999 Fiscal Year Annual Research Report
フェムト秒量子ビーム複合利用による水溶液の放射線化学初期過程の研究
Project/Area Number |
11308019
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田川 精一 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (80011203)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 一雄 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (30116032)
奥田 修一 大阪大学, 産業科学研究所, 講師 (00142175)
吉田 陽一 大阪大学, 産業科学研究所, 助教授 (50210729)
古澤 孝弘 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (20251374)
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Keywords | フェムト秒 / 電子ビーム / レーザー / 水和電子 / 生体 / 初期過程 / パルスラジオリシス |
Research Abstract |
本年度の目標はフェムト秒電子線パルスを用い、フェムト秒時間領域の放射線誘導反応の直接測定が可能な照射分光測定装置(パルスラジオリシスシステム)を開発し、生体系における放射線誘導反応の研究を開始することと、本年度以降の自由電子レーザーとコヒーレント放射を使った分光分析の準備を開始することであった。 まず第一に、フェムト秒電子線パルスをサンプルの励起源、フェムト秒レーザーを分析光源に用い、さらに、両者の同期ジッターをフェムト秒領域まで低減するための時間ジッター補正システムを導入することにより、フェムト秒領域の時間分解能を持つパルスラジオリシス装置の開発に成功した。電子線のパルス幅は125fs(FWHM)、レーザーのパルス幅は100fs(FWHM)、両者のジッターは185fs(FWHM)であり、この3要素から見積もられる時間分解能は約240fsである。 続いて、この装置を用い生体を構成する基本的分子である水の放射線誘起反応初期過程を測定した。水溶液に放射線が入射すると水和電子が計測されることが知られているが、その形成過程はフェムト秒領域にあり、現在まで放射線では測定が不可能であった。しかし、上記システムによりフェムト秒時間域の測定が可能になり、本年度、波長780nmでの時間プロファイルが得られた。過渡吸収の見かけ上の立上り時間は800fsであった。また、測定可能波長域に関して、フェムト秒白色光を利用することにより、ピコ秒の時間分解能ではあるが360nmから1000nmまでの測定を可能にし、水和電子の広い波長域にわたるスペクトルの測定に成功した。生体分子のピコ秒領域の実験に先立ちマイクロ秒領域での実験を開始した。 さらに、自由電子レーザーの改良を行うとともに、遠赤外コヒーレント放射をモニターにした水のパルスラジオリシス実験を開始した。
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[Publications] T.Kozawa,Y.Yoshida,S.Tagawa et al.: "Development of Subpicosecond Pulse Radiolysis System"Nucl.Instrum.Meth.A. 440. 251-253 (2000)
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[Publications] T.Kozawa,Y.Yoshida,S.Tagawa et al.: "Measurement of Far-Infrared Subpicosecond Cohernt Radiation for Pulse Radiolysis"Nucl.Instrum.Meth.A. 429. 471-475 (1999)
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[Publications] K.Kobayashi,S.Tagawa et al.: "Electron Transfer Process in Cytochrome bd-type Ubiquinol Oxidase from Escherichia coli Revealed by Pulse Radiolysis"Biochemistry. 37. 5913-5917 (1999)
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[Publications] K.Kobayashi,S.Tagawa et al.: "The pH-Dependent Changes of Intramolecular Electron Transfer on Copper-Containing Nitrite Reductase"Biochemistry. 126. 408-412 (1999)
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[Publications] K.Kobayashi,S.Tagawa et al.: "Isolation of reductase for SoxR that governs an oxidative responce regulon from Escherishia coli"FEBS Lett.. 451. 227-230 (1999)
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[Publications] S.Okuda et al.: "Upgrade of the ISIR-FEL at Osaka University and oscillation experiments in the sub-millimeter wavelength region"Nucl.Instrum.Meth.A. 429. 146-150 (1999)