2001 Fiscal Year Annual Research Report
構造生物学によるミトコンドリア翻訳装置の構築原理の証明
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11308024
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡辺 公綱 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (00134502)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大槻 高史 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (80321735)
鈴木 勉 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 講師 (20292782)
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Keywords | in vitro翻訳システム / ミトコンドリア / tRNA^<Ser>GCU / tRNA^<Ser>UGA / セリルtRNAシンテータゼ / 線虫 / EF-Tu / X線構造解析 |
Research Abstract |
本基盤研究(A)の目標は、現存する生物のうちで最も単純と思われる、動物ミトコンドリアの特異な翻訳システムにおける個々の装置の機能特性と構造的な異常性に焦点を当て、それらの機能構造の詳細な解析と実行可能なものからその立体構造を解明し、機能発現に必要な構造を探ることにより、ミトコンドリア翻訳システムの構築原理を解明することである。本研究実施期間の3年間における主たる成果は以下の通りである。(1)ミトコンドリアのin vitro翻訳システムの確立:ウシ.ミトコンドリアでin vitro翻訳システムを構築し、系の最適化を計った結果、ポリ(U)依存ポリ(Phe)合成で大腸菌のものと比肩し得る活性を示す系を構築することができた。(2)異常な2次構造をもつ2種類のセリンtRNAの翻訳活性:ウシミトコンドリアのセリンtRNAには正常なクローバ葉型の2次構造をもつものはなく、片腕を欠いたもの(tRNA^<Ser>GCU)と、アンチコドンステムが6塩基対のもの(tRNA^<Ser>UGA)の2種類が存在する。これらのtRNAが低いながらも翻訳機能をもつことをはじめて示し得た。特に効率の悪いtRNA^<Ser>GCUは、A部位への結合に欠陥があることが分り、現在詳細を追及中である。(3)セリルtRNAシンテータ(SerRS)ゼによる認識:これらのセリンtRNAは単一のセリルtRNAシンテータゼでセリンを受容することを組み換え酵素を用いて明らかにした。しかし同時にtRNA^<Ser>UGAと同じTアーム構造をもつtRNA^<Gln>も1/40の効率(kcat/km)でセリンを受容することがわかり、ミトコンドリアのtRNA-アミノアシル化酵素間にはkineticな識別機構の存在が示唆された。(4)線虫ミトコンドリアにおけるEF-TuのtRNA識別:大部分のtRNAはTアームを欠き、これに対応するEF-TuにはC末端に57アミノ酸残基の延長(ドメイン3')が見られた。このドメイン3'がtRNAの欠けた領域を機能構造的に補完することを明らかにした。現在ドメイン3'の立体構造をNMRとモデリングで解析中。(5)構造解析:これらの翻訳系の諸因子の結晶化を行なっており、現在SerRSは針状結晶が得られた。tRNA-EF-Tu複合体の結晶化とともに、近い将来これらの結晶のX線構造解析を行なう予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Ohtsuki, T., Watanabe K. et al.: "An "elongated" translation elongation factor Tm for truncated tRNAs in rametode mitocondoria"J. Biol. Chem.. 276. 21571-21577 (2001)
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[Publications] Suzuki, T., Watanabe K. et al.: "Structural Compensation for the Deficit of rRNA with Proteins in the Mammalian Mitochondrial ribosome"J. Biol. Chem.. 276. 21724-21736 (2001)
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[Publications] Suzuki, T., Watanabe K. et al.: "Proteinic analysis of the mammalian int ribosome"J. Biol. Chem.. 276. 331185-33195 (2001)
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[Publications] Yasukawa, T., Watanabe K. et al.: "Wobble modification defect disturbs codon-anticodon in teraction in a mitochondrial disease"EMBO J.. 20. 4794-4802 (2001)
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[Publications] Hanada, H., Suzuki, T., Watanabe K. et al.: "Translation ability of mt tRNAs^<Ser> with unusual secondary structures in an in vitro translation"Genes to Cells. 6. 1019-1030 (2001)
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[Publications] Saito, H., Watanabe, K., Suga, H: "Concurrent molecular recognition of the amino acid and tRNA by a ribozyme"RNA. 7. 1867-1878 (2001)
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[Publications] 志村, 渡辺共編: "RNA研究の最前線"スプリングフェアラーク東京. 238 (2000)