2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11308030
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
近藤 寿人 大阪大学, 細胞生体工学センター, 教授 (70127083)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 洋 大阪大学, 細胞生体工学センター, 助手 (10211939)
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Keywords | SOX2 / δクリスタリン / エンハンサー / Pax6 / 水晶体 / 感覚器原基 / 細胞分化 / 神経誘導 |
Research Abstract |
SOX2は、中枢神経系、感覚器原基など、細胞系譜の大きな変遷をもたらす細胞分化の調節因子であり、胚発生にとって最も重要な制御因子の一つである。SOX2の制御標的の一つであるδクリスタリン遺伝子のエンハンサーに対する制御機構を解析した。SOX2は蛋白質構造の中に転写活性化ドメインを持つものの、単独では遺伝子転写を制御せず、パートナー因子Pax6との相互作用によって転写制御活性を示すようになることを示した。SOX2,Pax6,エンハンサーDNAの3者の共存によってはじめて、強い転写活性化複合体が形成されることを確認した。このSOX2とPax6の協同による遺伝子の活性化は、特にクロマチン上の制御領域との相互作用において著しい。 水晶体誘導過程においては、まず頭部外胚葉にPax6発現領域があらわれ、その中に眼胞からの誘導によるSOX2発現領域が生じ、それらの細胞の中で、SOX2とPax6が相互作用を始める。これが水晶体分化の開始反応であると考えられる。実際、SOX2,Pax6を頭部外胚葉で強制発現すると、異所的な水晶体分化がおきる。このSOX2とPax6の協同的な作用は、他のSOX因子の作用機構に対しても範例を示すこととなり、Genes and Development誌に発表した論文は大きな反響を呼んだ。 中枢神経の分化の開始にはSox2遺伝子の活性化が必要である。Sox2遺伝子の神経誘導に対応するエンハンサーを同定した。このエンハンサーの活性には複数の転写制御因子がかかわると考えられる。SOX2は、中枢神経系ではPOUファミリーの転写制御因子をパートナー因子として神経幹細胞の維持や、神経系の細胞への分化を調節している。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kamachi, Y. et al.: "Pax6 and SOX2 form a co-DNA-binding partner complex that regulates initiation of lens development"Genes Dev.. 15. 1272-1286 (2001)
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[Publications] Nisizaki, Y. et al.: "Indentification of essential sequence motifs in the node/notochord enhancer of Foxa2(Hnf3b)gene that are conserved across vertibrate species"Mech. Dev.. 102. 57-66 (2001)
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[Publications] Olsson, J.E. et al.: "Sox18 expression in blood vessel and feather buds during chicken embryogenesis"Gene. 271. 151-158 (2001)