2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11354006
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
田崎 和江 金沢大学, 理学部, 教授 (80211358)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥野 正幸 金沢大学, 理学部, 教授 (40183032)
石渡 明 金沢大学, 自然科学研究科, 助教授 (90184572)
古本 宗光 金沢大学, 自然科学研究科, 教授 (80109264)
寅丸 敦志 金沢大学, 理学部, 助教授 (50202205)
神谷 隆宏 金沢大学, 自然科学研究科, 助教授 (80194976)
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Keywords | ナホトカ号 / 重油流出 / C重油汚染 / バイオレメディエーション / オイルスリック / 紫外線 / 重油分解細菌 / 自然培養実験 |
Research Abstract |
1997年1月2日、約12,000kLのC重油を積んだロシア船籍タンカー<ナホトカ号>が隠岐島沖で分断して沈没した。船首部は北西の強風を受け漂流した後、1月7日、福井県三国沖で座礁し、深刻な海洋汚染を北陸沿岸にもたらした。北陸沿岸で海水,砂を含む約30,000kLの重油が回収されたが、その後も流出が続き、1,300kmに渡って海岸が汚染された。 5年半たった現在も珠洲市シャク崎、長橋、輪島市大沢、アタケ海岸、千枚田海岸などで重油が目視できる。昨年から今年にかけて新たに漂着したとみられる油塊も認められた。2001年11月にはアタケ海岸において重油の入った砂袋10kgが回収されたが、粘着性の高い、黒茶色の油塊であった。海水に頻繁に洗われる環境では物理的洗浄による油の除去が行われると共に微生物によるバイオレメディエーションが進むが、砂海岸のように有機物の少ない環境では分解速度が遅いことが明らかとなった。 自然培養実験とバイオレメディエーションの可能性についても研究を行った。粘土、砂、水苔、酸性白土、鹿沼土などを入れた容器に、海水とナホトカ号のC重油を滴下した目視実験は、5年半を経過した現在、それぞれの環境条件により重油の分解に大きな差異が認められた。容器を屋外と室内に設置した場合、屋外の方が重油の分解が早く、油塊がほとんど認められないのに対し、室内の容器にはまだ油塊が存在する。また、砂のみの場合は分解が遅いが、水苔、酸性白土、鹿沼土など入れた場合は分解が早く、かつ、海水と河川水とでは、海水の方が油の分解が早いことが明らかとなった。分解速度は太陽光線、有機物量の存在量と供給量、水質に依存する。それぞれの容器中のオイルスリックには多くの重油分解細菌の増殖が認められた。屋外において重油の容器は紫外線による分解の他、微生物によりさらに分解が加速されることが明らかになった。
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Research Products
(14 results)
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[Publications] Tazaki, K., Sato, M., Van der Gaast, E., Morikawa T.: "Influence of dam sediments flushing on down stream benthic life"Clay Mineral.. (accepted). (2003)
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[Publications] 田崎和江, 國峯由貴江, 森川俊和, Chaerun Siti Khodjah, 他: "富山県出し平ダムの排出された黒色濁水の特徴"島根大学汽水域研究LAGUNA. 10. 1-17 (2003)
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[Publications] Tazaki, K., Islam, A.B.M.R., Nagai, K., Kurihara, T.: "FeAs2 biomineralization on encrusted bacteria in hot springs : An ecological role of symbiotic bacteria"The Canadian Journal of Earth Sciences. (accepted). (2003)
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[Publications] Kazue Tazaki: "Microbial activities of hydrocarbon degrading bacteria in heavy oil contaminated soil and seawater after 5 years bioremediation"Memoirs of Division of Glibal Environmental Science and Engineering Graduate School of Natural Science and Technology, Kanazawa University. 7. 11-27 (2002)
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[Publications] 藤沢亜希子, 盛一慎吾, 田崎和江: "水環境における活性粉末凝集剤の効果とその影響-富山湾のヘドロを例として-"金沢大学大学院自然科学研究科,地球環境科学専攻紀要. 7. 5-10 (2002)
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[Publications] 田崎和江, 瀬川忍, 南 大樹, 盛一慎吾: "金沢市及び近郊の室内ホルムアルデヒド濃度と発生源"エアロゾル研究. 17. 284-290 (2002)
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[Publications] 田崎和江, 長谷川香織, 松本和也: "神通川流域におけるダム堆積物中の重金属の挙動と微生物による浄化法の試み"地球科学. 56. 87-104 (2002)
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[Publications] 三津野真澄, 田崎和江, 菅沼浩敏: "石灰灰を用いた砂漠化土壌での緑化への試み-中国内モンゴル自治区を例として-"金沢大学理学部付属植物園年報. 25. 29-46 (2002)
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[Publications] 田崎和江, 縄谷奈緒子, 国峯由貴江, 森川俊和, 名倉利樹 他: "黒部川出し平ダムおよび富山湾における堆積物の特性-懸濁粒子が魚類に与える影響の検討-"地質学雑誌. 108. 435-452 (2002)
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[Publications] 田崎和江, 縄谷奈緒子, 国峯由貴江, 森川俊和, 名倉利樹, 脇本理恵 他: "ダム堆積物の排砂が下流に与える影響,その1-黒部川出し平ダムおよび富山湾における堆積物の特性-"地質学雑誌. 7. 435-452 (2002)
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[Publications] Asada, R., Okuno, M., Tazaki, K.: "Structural anisotropy of biogenic silica in pennate diatoms under Fourier transform polarized infrared microspectroscopy"Journal of Mineralogical petrological Sciences. 97. 219-226 (2002)
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[Publications] 今井茂雄, 北川陽, 田崎和江: "沖永良部島における水洗用便器と水道管を閉塞させるバイオマットの特性"地球科学. 56. 153-163 (2002)
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[Publications] 朝田隆二, 田崎和江: "バイオマット表面でのSi-生体鉱物化作用サイクルモデル"岩石鉱物科学. 31. 62-65 (2002)
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[Publications] Kazue Tazaki: "Handbook of Clay Science, Chapter 8, Clays and microorganisms ; Biosynthesis and biomineralization"NEW ZEALAND PRESS(in press). (2003)