2002 Fiscal Year Annual Research Report
直下地震による構造物の過度応答過程における衝撃対策
Project/Area Number |
11355025
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Research Institution | CHUBU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
野中 泰二郎 中部大学, 工学研究科, 教授 (60027224)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高畠 秀雄 金沢工業大学, 工学部, 教授 (20064462)
谷村 真治 愛知工科大学, 工学部, 教授 (30081235)
梅田 康弘 京都大学, 防災研究所, 教授 (10025421)
河西 良幸 前橋工科大学, 工学部, 教授 (00336489)
井元 勝慶 大林組, 技術研究所, 部長
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Keywords | 衝撃 / 破壊 / 地震 / 震源過程 / 過渡応答 / 鋼構造 / 兵庫県南部地震 |
Research Abstract |
主として当該年度に得られた研究成果のいくつかを以下に述べる。 2000年鳥取県西部地震の初期破壊過程を波形インバージョンによって求め、マグニチュード7.3の主破壊の2.5秒前に、マグニチュード5.5の初期破壊が発生していた事が確認された。ふたつの破壊の相対的な位置関係および断層面解が世界で初めて精度良く求められた。また、初期破壊と主破壊の断層面は異なっていること、および両者の間には変位のほとんど無い領域が存在することなどがわかったことから、初期破壊が徐々に成長して主破壊に至ったのではなく、空間的に離れた破壊の種を初期破壊がトリガーしたことによって、新たな主破壊を誘発させたと考えられる。その後、主破壊は大きく変位しながら地表に向かって進行したが、変位は地表には達しないまま、さらに北北西に進展し10秒ほどで終了したことなどがわかった。 兵庫県南部地震で被災したニールセン橋支承部の破壊メカニズムについて、詳細な破断面の観察と大規模数値シミュレーションを行った結果、部材間の衝突に基づく破壊過程が定量的に明らかになった。また、大型構造物地震応答に関して、直下地震の激しい水平・上下両方向の地震動の入力時刻と対応した過渡応答の主要応答時に破壊が開始する場合のあることをいくつかの具体例について定量的に示した。 兵庫県南部地震による芦屋浜高層住宅の柱とブレースの一体破断の原因を、陽解法を用いた有限要素による数値計算から検討した結果、ブレースをガッセトプレートを介せずに直接、柱に取り付けることによりブレースに局所的に応力集中発生してブレースの破断を誘発し、各個撃破型に柱の破断へと進行したことがわかった。更に、鋼製橋脚の中間部提灯座屈の発生メカニズムを、同様の数値計算により解明した。 既存木造家屋を外部から耐震補強する工法を開発し、その補強前後の地震応答性状について検討した。さらに、外部補強の支持部の水平載荷実験と3次元弾塑性解析によって支持部の耐震性を評価確証した。また、直下地震に対する鉄筋コンクリート構造物の耐震性に関して特に衝撃性という観点から阪神・淡路大震災以降の研究論文をレビューし、明らかになった知見と今後の課題を提示した。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Y.Umeda: "The 2000 western Tottori earthquake"Earth Planets Space. Vol.54 No.8. 3-4 (2002)
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[Publications] 平田美佐子, 梅田康弘, 川方裕則: "2000年鳥取県西部地震の初期破壊"月刊地球. 号外 No.38. 162-166 (2002)
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[Publications] S.Tanimura, T.Sato, T.Ueda, K.Mimura, O.Yoshikawa: "A Note on Dynamic Fracture of the Bridge Bearing Due to the Great Hanshin-Awaji Earthquake"International Journal of Impact Engineering. Vol.27,No.2. 153-160 (2002)
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[Publications] 谷村 眞治, 佐藤 登史, 楳田 努, 齋藤 年正, 小川 信行: "直下型地震による大型構造物モデルの過渡応答時の主要応答における動的挙動"日本建築学会構造工学論文集. Vol.48B. 377-383 (2002)
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[Publications] 佐橋 寿典, 高畠 秀雄: "鋼製橋脚の中間部提灯座屈の検討"日本建築学会大会学術講演梗概集. 373-374 (2002)
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[Publications] 高畠秀雄: "芦屋浜高層建物の柱とブレースの一体破断の検討"日本建築学会大会学術講演梗概集. 371-372 (2002)
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[Publications] 内田一義, 武田幸和, 河西良幸, 堀越清視: "既存木造家屋の外部補強耐震工法-補強前後の地震応答性状"日本建築学会技術報告集. 第15号. 109-114 (2002)
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[Publications] 河西良幸: "直下地震下でのRC部材の耐震性は?"2002年度日本建築学会大会(北陸)構造部門(応用力学)パネルディスカッション資料. 57-81 (2002)