2001 Fiscal Year Annual Research Report
ヤギにおける形質転換動物作出技術の確立と実用化に関する研究
Project/Area Number |
11356008
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Research Institution | AZABU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
舘 鄰 麻布大学, 獣医学部, 教授 (30011711)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 峯介 三菱化学生命科学研究所, 生殖工学開発室, 室長
佐藤 英明 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (80093243)
柏崎 直巳 麻布大学, 獣医学部, 講師 (90298232)
蜂巣 達之 株式会社シバヤギ, 代表取締役
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Keywords | 形質転換動物 / ヤギ / 精子の凍結保存 / 体外受精 / 卵成熟 / SRY / DAX1 / myostatin |
Research Abstract |
偶蹄類の家畜、特に比較的小型で扱いの容易なヤギ、ヒツジ、ブタなどにおける形質転換動物(トランスジェニック動物)の作出は、欧米ではすでに商業的な実用化の域に入りつつある。一方、わが国では、これらの動物を含む、家畜における形質転換動物作出技術については、まだ開発研究も十分に行われていない。本研究の目的は、わが国において、ヤギにおける形質転換動物作出技術を確立し実用化することにある。本年度には、核移植ドナー用のヤギ培養細胞株の樹立、培養細胞株における染色体解析ならびにテロメア長と継代数の相関関係の定量的解析、ヤギの卵巣内卵胞のin vitro培養系における成熟法の開発、ヤギ精子の凍結保存法の開発、ヤギの体外受精法等に関して研究を行った。ヤギ精子の凍結保存法に関しては、特に、抗酸化剤の影響の検討を行った。一方、形質転換に用いる有用遺伝子のクローニングに関しては、myostatin, HMGI-Cなど、筋肉の発達や、body sizeに関連した遺伝子、および、性決定に関与する遺伝子SRYならびにDAX1の単離とクローニング、配列決定を行った。また、形質転換動物作出に必要な遣伝子コンストラクトの作成に関しては、アンチセンスSRYを組み込んだ発現ベクター、抗SRYリボザイムを組み込んだ発現ベクターの構築を行い、モデルとして使用しているマウスについては、アンチセンスSry発現ベクターコンストラクトを用いて、トランスジェニックマウスの作出を行った。ベクター系としては、現在、最も強力なpromoter/enhancer complexであるとされる哺乳類細胞における発現ベクターpCAGGS(阪大宮崎純一教授から供与)を用いた。その結果、12匹(雄10、雌2)のトランスジェニックマウスが得られたが、表現型と遺伝型は全て一致していた。これらのマウスをfounderとして、非トランスジェニックC3B6F1マウスと交配して、F1を得たところ表現型が雌でありながら、PCR解析でY染色体のマーカーであるZfyに対して陽性を示す個体が得られた(39匹のトランスジェニック雌マウス中11匹)。現在、これらのマウスについて、詳細な表現型および遺伝的解析を行っている。マウスでの効果が確認されれば、ヤギについてさらに研究を展開する予定である。一方、抗マウスSryリボザイムを、ハンマーヘッド型、tRNA-ribozyme complex型等、数種類を設計した。これらのリボザイムにつき、in vitroにおける、Sry mRNAに対する切断効果を検討した結果、切断効果をもつことを確認した。すでに、発現ベクター系の構築も終了しているので、今後、これらのin vivoにおける効果を検討し、家畜への応用に展開する計画である。
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[Publications] Sabun S, Nadano D, Akama TO, Hirama K, Yamanouchi K, Naito K, Tojo H, Tachi C, Fukuda MN.: "The trophinin gene encodes a novel group of MAGE proteins, magphinins, and regulates cell prollferation during gametogenesis in the mouse"J. Biol. Chem.. 276. 49378-49389 (2001)
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[Publications] Uekita T, Tanaka SS, Sato H, Selki M, Tojo H, Tachi C.: "Expression of membrane-type 1 matrix metalloproteinase (MT1-MMP) mRNA in trophoblast and endometrial epithelial cell populations of the synepitheliochorial placenta of goats (Capra hircus)"Arch. Histol. Cytol.. 64. 411-424 (2001)
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[Publications] Inuzaka H, Yamanouchi K, Tachi C, Tojo H.: "A transgenic mouse model for investigating the response of the upstream region of whey acidic protein (WAP) gene to various sterold hormones"Exp. Anim.. 50. 1-7 (2001)
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[Publications] Nakamura N, Yamakawa N, Sato T, Tojo H, Tachi C, Furukawa K.: "Differential gene expression of beta-1,4-galactosyltransferases I, II and V during mouse brain development"J. Neurochem.. 76. 29-38 (2001)
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[Publications] Kashiwazaki N, Shino M.: "Ability of in vitro manipulated porcine embryos to develop to piglets"J. Reprod, Develp.. 47 suppl.. S35-S39 (2001)
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[Publications] Sato E.: "Morphological dynamics of cumulus-oocyte complex during oocyte maturation"Ital. J. Anat. Embryol.. 103(Suppl 1). 103-118 (1998)
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[Publications] 舘 鄰: "応用動物科学への招待"朝倉書店. 145 (2001)