2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11358006
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
柳田 祥三 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10029126)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村澤 貞夫 (株)シグナスエンタープライズ, 取締役社長(研究職)
北村 隆之 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40294037)
和田 雄二 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (40182985)
長谷川 靖哉 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80324797)
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Keywords | 太陽電池 / 色素増感 / 酸化チタン / 微結晶 / 多孔質 / 粒径制御 / フッ素 |
Research Abstract |
(1)色素増感太陽電池の完全固体化を目指し、オキシエチレン側鎖を有するアクリル酸モノマー分子を有機溶媒に溶解して細孔内に浸透した後、その場光重合することで高分子マトリックスをメソスペースに構築した。次いで、ヨウ素・ヨウ化物レドックス種を溶液拡散法により高分子マトリックスに導入することで、メソサイズ多孔質電極をゲル化された擬固体電解質で充填する方法を検討した。その結果、溶液電解質太陽電池の光電変換効率の86%に達する擬固体化色素増感太陽電池の構築に成功した。 (2)工業原料として安価な硫酸チタンを原料として、15-25nmの範囲で精密に粒径制御した酸化チタン微結晶を作製し、高分散なゾルを得た。また、ゾルへの界面活性剤の添加量を変化させることにより、多孔質酸化チタン薄膜の多孔度を40-65%、細孔径の分布を15-40nmの範囲で制御した。作製した多孔質酸化チタン薄膜電極を用いて太陽電池を作製し、それらの膜厚、細孔構造と、光電気化学特性との関係から、多孔質膜中の電子の移動度は膜のモルフォロジーにほとんど影響を受けず、電流密度が30mA/cm2以上の場合には、多孔度の低い膜で電解質の拡散の低下によると思われる光電変換効率の減少が認められた。これらの結果から、最適な多孔質薄膜構造を明らかにした。 (3)酸化チタン膜へのフッ素イオンドープ:酸化チタンは酸素欠陥を生じやすく、n-型の半導体として利用されている。この酸素欠陥をイオン半径の似通ったフッ素イオンで置き換えた多孔質薄膜を作製し、太陽電池を作製したところ、酸化チタンの幾何的、エネルギー的構造が安定化され、電子伝導性、開放電圧の向上が見られた。
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Research Products
(17 results)
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[Publications] 北村隆之,神戸伸吾,柳田祥三: "色素増感型太陽電池の研究動向"科学と工業. 74. 321-326 (2000)
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[Publications] 柳田祥三,北村隆之,和田雄二: "CO_2光固定と色素増感太陽電池の開発"工業材料. 48. 69-73 (2000)
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[Publications] M.Matsumoto, et al.: "High Pressure Effects on Fluorescence-Quenching of Coumarin 343 Adsorved on TiO_2 nanocrystallites in Methanol and in N,N-Dimethylformamide"Chem.Lett.. 938-939 (2000)
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[Publications] 柳田祥三,北村隆之: "光エネルギー変換研究の開発動向-色素増感型太陽電池を中心に"ケミカルエンジニアリング. 45. 897-902 (2000)
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[Publications] 柳田祥三,北村隆之: "次世代酸化チタン太陽電池の課題"マテリアルインテグレーション. 14/2. 1-6 (2000)
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[Publications] 柳田祥三: "新たな可能性色素増感太陽電池"電子情報通信学会誌. 84. 140-142 (2000)
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[Publications] M.Matsumoto, et al.: "Fabrication of Solid-State Dye-Sensitized TiO_2 Solar Cell Using Polymer Electrolyte"Bull.Chem.Soc.Jpn.. 75(印刷中). (2001)
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[Publications] 柳田祥三,北村隆之: "ナノマテリアルの最新技術(第III編第5章超高性能太陽光発電材料)"シーエムシー(印刷中). (2001)
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[Publications] S.Yanagida and T.Kitamura: "Photocatalysis-Fundamental and Applications-(§IV-10. Photoelectric TiO_2 Solar Cells)"Kodansya Scientific & Springer(印刷中). (2001)
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[Publications] 北村隆之,柳田祥三: "色素増感型太陽電池(Gratzel型)の基礎と応用(第5章Gratzel電池のダイナミクス)"技術教育出版(印刷中). (2001)
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[Publications] 伊藤省吾、柳田祥三: "色素増感型太陽電池(Gratzel型)の基礎と応用(第8章固体電解質およびゲル型電解質を用いる高効率色素増感太陽電池)"技術教育出版(印刷中). (2001)
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[Publications] 柳田祥三: "色素増感型太陽電池(Gratzel型)の基礎と応用(第11章Gratzel電池-世界の研究開発動向と展望)"技術教育出版(印刷中). (2001)
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[Publications] 北村隆之,柳田祥三: "色素増感太陽電池の最新技術(第26章固体化太陽電池の世界の動向)"シーエムシー(印刷中). (2001)
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[Publications] 伊藤省吾,柳田祥三: "色素増感太陽電池の最新技術(第27章擬固体化色素増感太陽電池)"シーエムシー(印刷中). (2001)
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[Publications] 柳田祥三: "色素増感太陽電池の最新技術(第36章ECN)"シーエムシー(印刷中). (2001)
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[Publications] 柳田祥三: "色素増感太陽電池の最新技術(第37章STA)"シーエムシー(印刷中). (2001)
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[Publications] 柳田祥三: "色素増感太陽電池の最新技術(第38章Solaronix)"シーエムシー(印刷中). (2001)